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夏の始まり
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靴を履き替え、階段を登る。
「今日の終業式、京は何か仕事あるの?」
生徒会なので無いということは無いだろう。
「今日は……なんか、1学期の総括を話せって言われてたな。生徒会長からってのもあるんだけど、なんか、次期生徒会長候補だからとかなんとか」
もうそんな話が出ているのか、と思った。しかし、考えてみれば生徒会選挙は10月なので、あと3ヶ月後と考えるとそこまで不思議なことでもないのかもしれない。
中学で生徒会長を経験した京はさほど気負ってもいないようで、俺ならば今からあたふたするところを平然としていた。
「京は本当緊張しないよね」
「あんまり、しないな。一族の集まりとかで喋る方が緊張するぞ」
苦笑した京だが、その背には家存続の重たすぎる責任が乗っていると思うと心臓が縮こまる気がした。
3F、2年生のフロアについた。
京と別れる直前、ふと両親との会話を思い出し声をかけていた。
「あのさ、夏休みにどこ行きたいかっていうの、京もちょっと考えててちょうだい」
「わかった」
京は片手を上げ、僅かに口角を上げて教室に消えていった。
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