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お手紙
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鶫と俺のように、寛太にも新しい出会いのようなものがあればいいのだが。
「僕も、鶫兄様と同じように柊兄様の側付きがいいなぁ。それか、杜若兄様! とっても優しい!」
寛太はニコニコして楽しい想像を巡らせる。普段ならこのような発言は注意するところだが、この二人きりの控え室では良いだろうと、俺も聞き流した。
しかし、2年連続で同じ人が側付きをつけるという話は聞いたことが無いし、また年長組が側付きをつけるというのも聞いたことがない。もしなるのであれば、鶴か椿か石蕗の誰かのだろう。
どの道に転んでも苦労は絶えなさそうだ。寛太には言わないでおこう。
「綴様、準備が整いました」
使用人に呼ばれ、寛太に見送られて俺は金扇楼の3階に上った。今日は金扇楼をお休みにしていて、他にお客さんはいない
3階の、最も格式高い部屋、松の間が今日の見合いの場だ。朱屋街を一望することができる最高の和室であり、掛け軸や襖に描かれる日本画、使用されている木材なども一級品である。
もう何度も仕事で入ったことのある部屋だが、今日はいつもとは違う意味で緊張していた。
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