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「よし、今日はこの前のテストを返すぞ。順番に取りに来い」
昼食を取り終わると授業の時間になり、先生の呼ぶ声でテスト返却が始まった。
俺はさっきの事で完全に忘れていたが、このテストかなりやばい。
解き始めからちんぷんかんぷんだったのだ。
点数など目に見えている。
そしてついに俺の名前が呼ばれる時が来た。
教卓の前に立ち受け取る為にすっと手を伸ばす。
「穂中……授業終わったら俺のとこに来い」
怖い顔をした先生からそう言いながら渡されたテスト。
席に着いて恐る恐る確認した。
『十五点』
じゅうご…!?
俺はすぐにテスト用紙を畳み、机の端にバンッと置いた。
この数字は体に毒だ、見ない方がいい。
「全員受け取ったな。このテストは言わば基礎中の基礎。ここで躓くと後で大変なことになるからしっかり復習しておくこと。分かったな?」
お願いします、俺を見ないでください。
俺は何より勉強が苦手なのです。
先生の熱い視線から逃げるように俯くと、きゅっと膝の上で拳を握り締めた。
どうやら俺は彼女をつくる勉強の前に、数学の勉強が必要なようだ。
授業中もずっお現実逃避しているとあっという間に一時間が経った。
はぁと溜め息をつきながら先生の元へ恐る恐る近づく。
いつもなら女子が先生を囲んでいるが、今日は俺だけだ。
「穂中、さすがに十五点はまずい。放課後補習してやるから数学教室に来い。いいな?」
「はい…」
ぽん、と頭の上に置かれた先生の手。
そこからは呆れた先生の感情がひしひしと伝わった。
いいなぁ、とか言っていた女子。
譲るから変わってください、先生怖い。
俺は胸を痛めながら、放課後までの間憂鬱な時間を過ごした。
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