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バーベキューも終わり満腹になった後、亜太と芽鶴でお風呂に向かう。
当たり前だけど家と違ってものすごく広い。
子供のようにはしゃぎながら中へ進むと、また芽鶴に静かにしろと怒られた。
テンションは勝手に上がるものだから勘弁して欲しい。
髪と体を洗い終わり、湯船に浸かる。
日頃の疲れが取れる気持ち良さに、おじいちゃんのような声を出す。
そんな俺を見て隣の亜太は呆れたように笑っていた。
「あれ、そう言えば芽鶴は?」
「あー、芽鶴共同で使う場所とか苦手だからもう部屋に帰ったんじゃないかなぁ」
「そうか。大変だなあいつも」
幼い頃から一緒にいるが、芽鶴は若干潔癖な所がある。
特に他人と何かを共有することが嫌らしくて、銭湯はずっと嫌いって言ってた。
ぽやーっと亜太と駄弁りながら湯を満喫していると、俺と亜太の間ににススーっと鈴木がやってきた。
「なにー?エロい話なら俺も混ぜてよ」
「違うから。万年発情期は黙って」
「冷たいなー亜太は。ここ女子風呂覗けないから楽しみないんだよなぁ」
そう言って不貞腐れた顔をする鈴木にドン引く俺。
こいつ日頃からヤバい奴だとは思ってたけど本当にヤバい奴だった。
しかも鈴木なら本当にやりそうで怖い。
ジトーっと不信な目で見ていると、鈴木はにししと意地の悪そうな顔をした。
「なー亜太って彼女いるんだろ?どんくらいの頻度でしてんの?」
「何でそれを鈴木に言わなきゃいけないの」
「いーじゃん、気になるなぁ。亜太って結構ねちっこそうだけど嫌われたりしない?」
「お前みたいな性欲馬鹿と一緒にすんな」
二人で話をしているが、俺には全く内容が理解できない。
どれくらいの頻度…?何の話だろう。
デートとかな?とりあえず俺には関係ない話だなぁ。
ぶくぶくと顔をギリギリまで浸かりながら俺はお風呂を堪能した。
お風呂を済ませると直ぐに班長会議があって、先生と打ち合わせをした後に部屋に戻る。
襖を開けると芽鶴は既に寝ていて、その他のみんなは、布団の上で輪になっている。
亜太の姿が見当たらないがどこに行ったんだろう。
とりあえず三人に混ぜてもらおうとぽすんと近くに腰を下ろした。
「何してんのー?」
「お、穂中。お前も見るか?」
何やら興奮した様子で手に持っていた本を見せびらかしてきた鈴木。
後の二人もやたらニヤニヤしていて若干気色悪い。
不思議に思いながら、覗いてみると俺は衝撃のあまり固まる。
そこには女の人の下着姿の写真があって、口に出せないような卑猥な見出しが書いてある。
いわゆる、エロ本と言うやつだ。
「な、なななにみてんのっ!?」
「何って、お前知らねぇのかよ?」
「知ってるよ!何でそんなもん見てんの言ってんのっ」
「いやぁ、宿泊でのメインイベントだろ」
わかってないなぁ、と呟く鈴木を理解できない。
直視できるはずもなく、目を思いっきり逸らした。
亜太の言う通り本当に性欲馬鹿だった。
こんなの見て何が楽しいんだ…?
驚いた俺が大きい声を出したせいか、布団にくるまった芽鶴が小さく掠れた声を漏らす。
ヤバい、と咄嗟に口を噤んで小声にした。
「何、お前って見たことないの?」
「あるっ…けど、興味ないだけっ」
「嘘つくなって。初心者穂中くん、俺のイチオシボディを見てご覧よ」
そう言って無理やり見せられたページにぎょっとする。
女の人の体が隠さないまま載っていて、大事な部分がモロに出ている。
確かに俺は嘘をついた。
こんなの見たことないし、見ようと思ったことも無い。
知らない人の裸を見て興奮するとか本当にただの変態じゃないか。俺を鈴木と一緒にしないで欲しい。
そんな俺の思いなど知らない鈴木は、次々に本のページをを捲っていく。
「でもやっぱり俺はショート派だな」
「…っ!?」
ふと捲られたページを見た瞬間、心臓がバクリと跳ねる。さっきとは違う黒髪の短い女の人が載っていて、これもまた過激な姿になっている。
俺はその人から予想もしない人物を思い出し、じわじわと熱が体にこもっていく。
どうしようと考えた結果、ひとまずこの場から逃げることにした。
「お、俺っちょっとトイレ行ってくるっ」
「おー勃ったんならここで抜いてもいいんだぜ」
「うるさいっ!」
俺を馬鹿にして笑う鈴木を睨みながら、俺は部屋を飛び出した。
は、と息をついて部屋の襖を閉める。
気づいていたが確信はなくて、下腹部に手を当てると俺は泣きたくなった。
最悪だ、本当にタチが悪すぎる。
あの女の人を見て、"先生"みたいだなと思ってしまった自分を殴りたい。
共通点と言えば髪型と髪色くらいで、あとは全く違う。
なのに、どうして…
自分でも良く分からず、情けなくてじわりと涙が溜まる。
とぼとぼと歩きながらトイレに向かう途中、廊下の曲がり角で誰かの影が見えた。
でも気づいた時にはもう遅くて、俺はその誰かに顔から勢いよくぶつかってしまった。
「うわっ」
「――っと、危ない…ってお前か」
顔を上げるとそこにいたのは稲見先生だった。
何とか先生が俺の体を支えてくれたおかげで倒れずに済んだけれど、顔が目の前に来てしまって心臓に悪い。
咄嗟に目を逸らすと先生は俺の腰を掴み、強く引き寄せた。
「――何これ」
ぐいっ、とその場所を的確に抑えられ、体が強ばる。
何とはそれしかない。
ヤバいと思ったもの上手く答えられずに黙り込んで俯く。
すると支えていた腰から手を離され、今度は腕を掴まれた。
そしてそのまま腕を引かれて足を進める先生。
どこへ行くのか分からないし、先生が何を考えているのかも分からない。
そんな俺は引っ張られながら着いて行くしかなかった。
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