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みんなが起きる前に先生と別れ部屋に戻り、全く起きない鈴木を叩き起こしている内に朝食の時間が来る。
今日はここ限定のできたてパンをこれでもかと食べてやった。
身長を伸ばす為、牛乳も忘れずに。
荷物をまとめ部屋を綺麗にして出たあと、宿泊先の管理者にお礼をし、バスに乗り込む。
今日の予定は博物館を見学するだけ。
それが終わったらいよいよ楽しかった集団宿泊も終わりだ。
斉藤先生に貰った酔い止めをバッチリ飲んで博物館へと出発した。
「ねぇ、鈴木」
「ん?なに」
「一昨日注意されたの忘れたの?」
隣の席で堂々とエロ本を読み始めた鈴木。
先生に返してもらったのか、はたまた違う本なのか。
どちらにせよ鈴木は色々とおかしい。
呆れてはぁ、と溜め息をついた。
今日は亜太と芽鶴が隣同士で、俺は鈴木と隣の席になっている。
バスの席なんて別に誰でもいいんだけど、鈴木は駄目だった。
でも他の人の隣に座らせるも良くない気がする。
なるべく鈴木の方を見ないように視線を逸らしていると、ポンと肩に手を置かれた。
「百馬がいい感じ壁になってるから大丈夫だって、なんなら一緒に見るか?」
「見ないっ!」
「ひぃ〜、性知識が微塵もないお子ちゃまは大変ですなぁ」
別にない訳じゃないし。
童貞だけどえっちはしてるし。
…もう大人だもん。
けれどそんな事を言えるはずもなく黙り込む。
ムッとして俯いていたから、俺は鈴木がニヤついているのに気が付かなかった。
「ほれ」
「うわっ…!もー、先生にチクるからね!?」
「ぶふふ、ごめんって」
突然目の前に現れた水着姿の女の人。
何かと思えば鈴木が手に持っていた本を俺の顔の前に差し出していた。
この変態!スケベ!
「あーそういやトイレでオナってたヤツ、別のクラスらしよ。誰かまでは教えてくれなかったけどー。いなみんに聞いたらそう言ってた」
「…へー」
「疑って悪かったって、あの状況でお前がいなかったから普通にそう思うだろ?」
「もういいよ、その話…」
何を話し始めるかと思えば、思い出したくないことを掘り返された。
いわゆる黒歴史になりそうな予感。
いくら先生が悪いとはいえ、俺からしたいと言って宿泊中にしかもトイレでするとか何事だ。
改めて恥ずかしさと罪悪感が俺を襲う。
ごめんなさい別クラスの誰かさん。
そして反省してくれ稲見先生。
いたたまれない気持ちになった俺は、鈴木に絡むことをやめた。
うん、忘れよう。
数時間後、ようやく目的地に着いたようでうながされるまま博物館へと向かう。
初めて見る博物館は予想以上に大きくて、思わず驚きに声を漏らした。
中に入ってみても、天井が高くこのエリアだけで物凄い広さがあった。
あちこちに展示物が並んでいるものだから、ついつい目を奪われて芽鶴に注意されてしまう。
「広いんだからじっとしてろ。迷子になっても知らないからな」
「もー子供じゃないから大丈夫だって。わぁ!あそこに金ピカがあるっ」
「はぁ、言ったそばから…亜太」
「はーい百馬、拘束の刑」
「えっ?ちょっとっ!」
何をされるかと思えば、背負っていたリュックに謎の紐で結ばれた。
そしてその紐をリードのように亜太が手に巻いて俺を引っ張って行く。
「ほら、行くよ。ちゃんとついてこないと芽鶴から怒られるからね」
「もう既に怒られてるって!」
ビィーンと紐を引っ張られ、体が勝手に亜太について行く。
後ろから芽鶴に「自覚があるならよそ見せず歩け」と言われて背中を押された。
俺犬じゃないのに!
最後に迷子になったの小学校の時だから大丈夫だって。
その時も知らないおじちゃんに助けてもらえたから全然問題なかったもん。
俺の意見なんて聞き入れてもらえず、二人にされるがまま館内を鑑賞して回った。
「…日和、いつの間にそんなペット飼ったんだ?」
「一時間前くらいですかね」
「ペットじゃないっ!」
俺と亜太の声が重なる。
館内を自由行動中に稲見先生に出会ってしまった。
勿論俺は紐で繋がれていて、なんとも奇妙な姿をしていた。
むすーっと不貞腐れていると、不意に亜太が声を漏らした。
「いなみん、百馬のこと預かってて下さいよ。芽鶴があれに行きたいって」
そう言って亜太が指差すのはとある体験コーナーのようなもの。
二人ずつしか参加できないらしく、俺は除け者と言う訳だ。
どうして俺と芽鶴では駄目なのか。
理由は変なヤツと思われたくないからだと。
それならこの紐を外してくれれば済む話なのだが、そんな俺の意見は毛頭聞くつもりはないらしい。
「あー、いいよ。連れ回しとく」
「ありがとうございます、行こう芽鶴」
「ちょっとー!俺承諾してないのにっ」
紐を先生に引き渡してスタスタと遠くへ行ってしまう二人。
その後ろ姿を睨んでいると、ぐいっと紐を引っ張られた。
そしてそのまま無理やり前へと進んでいく。
「先生、離してくださいよー。俺一人でちゃんといれますって」
「絶対迷子になるから駄目。大人しくついてこい」
「横暴だぁ…」
少女漫画でよく見る俺様って多分この事だ。
女の子の心を引っ張る、というか俺は物理的に引っ張られてるけど。
俺はもっと優しくて甘いシュガー男子なるものがいい。
可愛がってくれる人なら尚よしだ。
そういえばこの前読んだ漫画がそんな感じだったなぁ。
ぽわぽわと漫画の内容を思い出しながら、俺は先生に引っ張られていた。
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