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「…どうぞ」
「特別だから手じゃなくて口だろ?」
「えっ、く、くち!?」
ひとつ摘んで先生の口元に差し出すと、そんな訳の分からないことを曇りのない笑顔で言われた。
口って口移ししろってこと?
嫌だよ、そんな恥ずかしいのっ。
どうしていいか悩みパチパチと瞬きを繰り返していると痺れを切らしたのか、手に持っていたマカロンを無理やり口に含まされた。
「ほら、ここに頂戴?」
そう言って開けられた口からちらりと悪戯な赤い舌が覗く。
ここに、ってことはやっぱり先生の口まで運ばないといけないわけで。
「穂中」
「…うー」
優しく名前を呼ばれ、声を出せない代わりに唸り声で「分かってる」と返事をした。
されたことはあっても、したことは無いその行為。
屈んでくれているけれどまだ届かない身長差に、先生の肩にポンと手を乗せる。
そのままぐいっと背伸びをすると、そっとマカロンを先生の口に押し当てた。
まるで俺からちゅーするような仕草に恥ずかしくなりながらも、何とか達成できた。
サクッと良い音が聞こえ、俺は素早く口を離した。
「…ん、美味しい」
「それはありがとうございます…」
俺も残った部分をサクサクと食べながら先生をじとーっと睨む。
でも喜んでくれて良かった。
今度は先生の好物を作って渡そうかな。
そしたらもっと喜んでくれるはずだ。
羞恥と同時に嬉しくもなり、思わず頬が緩んだ。
「先生って好きな食べ物は何ですか?今度はそれを作りますっ」
「んー、好きな物ねぇ…」
顎に手を当てながら思案する先生にわくわくと目を光らせる。
先生のことだから海外の料理とか好きそう。
イタリアとかそっち系のも色々作ってみたいんだよね。
甘い物が苦手なら辛い物は好きなのかな?
先生はしばらく悩んだ後、小さく声を漏らしにこりと微笑む。
そして少し近づいたかと思うと俺の頬にそっと手を添えた。
「穂中」
「えっ…はい?」
「俺は穂中がいい」
「……ふぁ!?」
名前を呼ばれたかと思えば、先生の見当違いな答えに変な声が出てしまった。
俺は好きな食べ物は何かって聞いたのに、何故人物で答えるんだ。
それに俺がいいってどういう意味――
「んっ、んー…」
疑問を口にする間もなく、唐突に唇を塞がれた。
容赦なく割って入った舌先が俺の舌と絡んで熱に蕩けていく。
さっき食べたばかりのマカロンのせいか、やけに甘い。
やっぱり俺はちゅーするのが好きだ。
ふわふわして、気持ち良くて、心地いい。
とろんと溢れ出す快感に溺れていると、俺はとあることに気づいて先生の胸を押した。
「…んっ、せんせぇ…」
「どうした?」
「こ、これ以上は帰れなくなるから…っ」
きゅっと太腿を合わせ反応しかけている自身を隠す。
気持ち良すぎるが故に、困ることもある。
みんながどうかは知らないが、少なくとも俺はちゅーだけでこんなになってしまう体だ。
きっと先生が上手いとかそういうのも関係している気がする。
そんな俺を見た先生はクスリと笑って額に優しく口付けた。
「そう言えば部活終わりだったね。また今度、ね?」
お願いするような言葉に俺は素直に頷く。
ゆるりと先生の体に手を伸ばせば、満足するまでぎゅっと抱き締めてくれた。
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