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あれからしばらく経ち、気がつけばデート当日。
勉強したお陰で無事に補習をまのがれることができた。
先生にもいっぱい褒めてもらえたし大満足だ。
デートは先生の車で行くことになったけれど、家まで迎えに来てもらうとお母さんになんて言われるか分からないから駅にしてもらった。
一応稲見先生は教師という立場で俺は生徒だし。
その関係もあって今日行く水族館も少し離れたところだ。
相変わらず人の多い駅の駐車場で待っていると、黒い車が俺の目の前に止まった。
「うう〜、わー、ずるい…」
「ふっ、何が?早く乗りな」
「はーい…」
車のドアを開けて助手席に乗り込むと、そこに居たのはもちろん稲見先生。
でもいつもと違って髪型がイケメンになってる。
いやいつもイケメンだけど、今日は漫画の登場人物のようにイケメンになっている。
それに服も大人の男!色気ムンムン!って感じで直視できない。
シートベルトを閉めると早速出発する。
両親以外の運転する車に乗るのは初めてで、少し緊張していた。
「わっ、すごい人…」
「まぁ休日だし、親子連れも多いだろうからな。チケットはもう買ってあるから入場ゲートに行くよ」
券売機の列を無視して奥へと進んでいく。
なんて準備がいいんだろう。
俺だったらこのチケット争奪戦で苦戦している。
周りの様子を伺いながら足を進めていると、ふとあることに気づく。
あ、お金!
デートだからってさすがに先生に出してもらうわけにはいかない。
稲見先生の腕を軽く引っ張って、名前を呼ぼうとしたところでまたしてもあることに気がついた。
「どうした?」
「あの、先生のことなんて呼んだらいいですか?さすがに外だから呼び方変えないといけないかなって…」
精一杯の背伸びをして先生の耳元で小声で話す。
先生も屈んでくれたようで、なんとか伝えられた。
すると先生は少し考えて、にこりと微笑んだ。
「俺の下の名前、由紀(ゆき)って言うんだよね」
「え…?」
「呼んで?」
初めて聞いた先生の名前に驚くと同時に、呼ぶよう言われさらに困惑する。
な、なんかいつも先生としか言わないから変な感じ。
やけに緊張する。
俺は口元をもごもごと動かしたあと、先生の顔をちらりと見た。
「ゆき、さん…?」
「うん。行こっか、百馬」
「ふぁっ!?」
そう言われて手を繋がれる。
先生はどこか嬉しそうに微笑みながら俺を引っ張っていく。
名前なんて周りに何度も呼ばれているから、別に特別な訳じゃないのに、先生に呼ばれるとなんか違う。
こんなの、恋人みたいだ。
熱い顔をもう片方の手で抑えながら先生に着いて行った。
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