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来訪者
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おかしい。
もうすっかり日が暮れた仕事終わり、寮へ帰る途中で異変に気づいた。
誰も居ないはずの自分たちの部屋に誰か人がいる。
アカネは上司に呼び出され後から帰ると言っていた。部屋の中にいる1人はアカネでは無いはずだ。
薙刀を構えながら部屋のドアを開ける。
「おかえり〜」
若い、女の声だ。
「不法侵入だね、拘束する」
薙刀を向ける。
「ま、待って待って!!!話聞いて!」
「こっちの質問に答えたら聞く、どうやって入ったの」
「壁、登ってきた」
得意げに言う女。
ここは3階だぞ。それに窓にも部屋の扉にも鍵はかかっていた。
「目的はなに、ここには金目のものは無いし」
「あんた、あたしのこと覚えてないわけ?」
呆れたような口調で言う、
確かにこの声、どこかで聞いたことがあるような気がする。
しかしすぐには思い出せない。
「なんのことだよ…」
「なるみ…」
「なっ!?!お前!!」
思わず大きな声を出してしまった。
忌々しいその単語を聞いたのは何年ぶりであろうか。
「ごめんごめん、思い出した?」
思い出した、この声。
「虎んとこの妹…だっけ」
「ご名答!あ、でも今は“虎子”だから、よろしくね」
「ほとんど変わらないじゃん」
「うっさい」
久々に会う、ボクがボクになる前の頃の知り合い、
嫌な記憶ばかり思い起こされて気分が悪くなる。
「それで、何しに来た」
「警告しに来た、あたしの姉があんたの眼を狙ってる。まだあんたの居場所、名前どころか、あんたが持ってるってことすら知らないと思うけど」
「はぁ、なるほどね、でも天下のお姉様ですら知らないボクの居場所をなんでトラコさんは知ってるのかな?」
「詳しくは言えないけど、仲間にそういう能力者がいるの」
「それはそれは恐ろしい能力だね」
お姉さんの知り合いでなくてよかった。
「まぁとにかく、一応気をつけてね、知り合いが姉に殺されるなんてことがあったら気分悪いから」
「簡単には死なないよ、
やりたいことが出来たから」
ボクには、死にたくない理由ができてしまった。
「ふーん、まあどうだっていいけどさ」
自分のすぐ後ろ、扉が開く音がしてハッとした。
トラコに気を取られていて気がつかなかった。
後ろから近づく足音、嗅ぎなれた匂い。
アカネが口を開く。
「誰ですか、その人」
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