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「ーーその命。捨てるなら我等が貰い受けよう。」
心ーーというか頭の中に直接声が入ってくるような、とても不思議な感覚に襲われた。
「ーーえ、なに?」
その瞬間、ふと我に還った。
周りを見渡す。
陽も落ちた薄暗い闇の中。
鬱蒼と繁った木々が風にざわめく。
今居る場所は、近所の古びた小さな社だった。
(いつの間に、此処に来ていたんだろう。)
手入れをされることなく、ただ朽ちていく建物がそこに在るだけで、管理する者も、訪れる者も居なかった。
でもそれは、小さい頃から僕にとっては好都合で、居心地の良い場所だった。
「我等と、共に在れ。ーー花麗。」
優しく落ち着いた声で、ハッキリと名前を呼ばれた。
「だ、誰? 何処に居るの?」
背中を押されるようにザッと風が舞い、ふわりと桃に似た、ほのかに甘い香りに包まれる。
振り返ると、羽織袴に似た着物を着た綺麗な顔立ちの男が二人立っていた。
「ーー白夜と、剛祈…?」
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