アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
31.
-
「キミ、可愛いね……。お菓子をあげるから、こっちにおいで…。」
汚れたスニーカー、ヨレヨレのジーンズ、黒いパーカー、目深に被った黒いキャップにパーカーのフードを被った男が、砂場で遊んでいた僕に話しかけてきた。
逆光で顔が全く分からない。声色からして30代だろうか。
周りを見渡す。僕の知っている人が誰もいない。
(ーーにげなきゃ…。)
この時、何となくそう頭に浮かんだ。
そうだ、思い出したーー。白夜と剛祈と初めて会った日のことを。
「……いかない。パパとママが、おむかえに来るから…。」
「そう…お迎えに来るまでの間でいいんだよ…。ほら、一緒にチョコレート食べよう……。」
そう言って手を伸ばしてきた男の顔に向かって、砂場の砂を思い切り投げつけた。
「ぐあっ!! ……クソガキがぁッ!!」
その隙に出来るだけ遠くに、身を隠せて安全な場所に逃げないとーーってまだ5才の小さな体で必死になって走った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 48