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「はぁはぁ…さぁ、家に帰ろう。」
花麗は優惺の手を勢いよく振りほどいた。
「───帰らない。」
「…え?」
「僕は帰らない! これからはここで白夜と剛祈と生きていくって決めたんだ!」
「だ、ダメだ! 生け贄にされるんだぞ!!」
「違う! そんなんじゃない!!」
目一杯に大粒の涙を溜めて、震える声で反抗する花麗の姿に言葉を無くしてしまった。
「二人はそんな酷いことしない! 僕が…僕はもう全部イヤになって、死にたくてここに来たんだ! でも二人に『一緒に生きよう』って言われて、あんな思いをしなくて済むなら、それならここで生きていこうって……そう思って…うぅ……。」
こんなに感情を露にしている花麗を見たことがない。
「ご、ごめん。花麗が突然居なくなって連絡つかなくて…。その上、生け贄にされるって聞かされて焦っちゃって…ごめんな。」
震える肩を優しく抱きしめ、落ち着かせようと背中を撫でる。
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