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慣れないどころか、初めてに近かった。
人から相談を持ちかけられるというのは。
それも、どちからというと特殊な部類に入るであろう事。
あの時は何も考えず…いや、それよりも、まだ若く思春期真っ最中の彼を否定しないでやる為にと大人なりに気を働かせたつもりで。
佐々木の恋愛を応援すると、この口は確かに発したのだ。
だから苦しかったんじゃないか。だから心の高まりを抑えようと必死だったんじゃないか。
…どうして、そんな大切な事を忘れて
一人で浮ついて居たのだろう。
佐々木の手の温もりが忘れられなかった。
欲をむき出しにした獣の眼が俺だけを映していて、興奮した。
居心地の良かったそれは全て、佐々木にしてみればただのお遊び。
自身より10年近くも長く生きている大人をたぶらかす、スリルのある危険な火遊びなのだ。
今朝のあいつの態度が、あまりにも優しくて。
昨晩夢に見たあいつが、あまりにも俺を欲してくれたから。
自分勝手に舞い上がり、年甲斐もなくスマホのメッセージに顔が緩んで。
次に会えるのはいつだろうなんて、仕事中に考えるべきではない事を一日中思ったりして。
あぁ、最悪だ。
これだから、俺は。
人とのうまい付き合い方も知らないゴミ以下の俺だから、佐々木は練習台にしたんじゃないのか。
修学旅行は、例の男と会うことは出来たのだろうか。
仲は深められたか?準備してきた土産話というのは、もしかしてその男との関係が進展した…なんて内容か?
俺はそれを聞いていられるのか。
好きな人が、好きな人の話を楽しそうにする様を、どんな顔して見たらいい。
「……ひぐっ、」
シャワーじゃない、何か別のものが
頬を伝って、排水口に吸い寄せられる。
天から注がれる雨ですら罪は流せないのに、人工的な機械から噴き出すそれが俺の数々の過ちを無かったことにしてくれるわけがない。
昨夜、もし佐々木が通りかかってくれなかったら
俺はオヤジ狩りにでも遭って散々な思いをしていただろう。
だからありがとう。
心からの感謝の気持ちだ。
だが、そのせいで佐々木の想う誰かと傍に居られる機会を奪ってしまったんじゃ無いかって。
俺のせいでお前は、俺に付き添う事しか選べなかったんじゃ無いかって。
だからあんな事を……。目当ての相手に出来なかった腹いせに、俺を利用して…?
はは、情けないな。
こんなにも高校生に弄ばれるだなんて。
俺が何かしたか?ただ店に行って買い物していただけだろう?
初めて家に泊めた時だって、佐々木の為に…って。
ただそれだけだったんだよ。
そんなに俺の事、嫌いだったのか?
なぁ、佐々木。
「……うっ、ふぅ……ッ。」
俺の気持ち、お前には届かないか?
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