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飛びきらない理性の中で自ら晒してしまったそれは、性行に進む準備を完全に済ませた装いで。
ソファに広がる髪の毛一本から爪先までをじっくり舐める佐々木の眼光は鋭く、見えない炎で俺を焼き尽くしているように思えた。
だって、本当に…身体が、熱い。
佐々木に見られた所から順に熱を持って、表面よりもっと奥。中の…自分じゃ確認なんか出来ないくらい深い部分が、簡単に燃えて、焦がされて。
「…自分で見せてくれるの偉いですね。」
視線に焼かれるだけでなく、佐々木の声を取り込む耳まで熱を持ってしまえばもうお終いだ。
希望なんてどこにも無い。むしろ絶望に覆われている身でありながら、期待するみたいに重くなる下腹部が言う事を聞いてくれなくなる。
隠すものも拭うものも自身の手で取っ払ったお陰で、先端の割れ目から浮き出た透明な玉は体積を増して腿へ流れた。
まるで佐々木に見せつけるように。
思考する事を辞めない限り、いつか自制心によって行き止まるであろうこの行為の手助けてをしてくれるのは、もしかしたらコレだけなのかもしれない。
脳から伝達するより早く、負け試合である事を理解するより早く、快楽を求めて独りで走ってくれる生物の本能的な部分。
「こ…これ、で…触ってくれる……か?」
「うーん、そうだね。お願いしてくれたらいいよ?“伊織、触って”って。」
「んなっ……?!」
20半ばのグロテスクなものをまじまじと見つめていたその男は、床に落ちた自身の髪ゴムを拾うと調子の良い口調でとんでもない事を言い放つ。
ここまで卑猥な格好をさせておいて、まだ足りないというのだ。高校生にしては悪趣味すぎやしないだろうか。
驚いた拍子に多少の熱が冷めたらしく、今の状況に後ろめたさを覚える割合が欲求に溺れるそれと互角になりかけた。
だが、その時。
「おい!……言えねぇの?こんなはしたないカッコまでしといて俺の名前は呼びたく無いって?」
「ぁがッ…いだい、おま…そこはぁ!!」
俺の股を割ってソファに勢いのまま腰をおろした佐々木は、つい先程割れ物のように大切に触れ、労ってくれた足首をグンと捻り上げる。
恐らく、まだ彼は本気で力を入れているわけじゃない。高校生男子の筋力はこんなものじゃない。
だが、真っ白な印を他でもない彼自身が付けたともなれば、患部をピンポイントで刺激するのは造作もない事。
「痛いよね、可哀想。アンタが俺にこうさせてんの。わかる?」
「ひぎゅ…、ぅ…ぅう、!」
左足は投げ出され、右足を無理やり上に持ち上げられている様は、何処までも間抜けで愚かだった。
これくらいの痛みじゃ大人しくならない欲望の塊は、痛み苦しみとは違った理由で先端から白い涙を流す。
信じられない、信じたくもない光景が佐々木の目に…映り込む。
「は、はは……やぁっば。…思った以上のドMじゃん。これじゃ嫌がらせにもならねぇ。」
たった3文字の名が口から出てこない訳を、果たして本当に“恥ずかしいから”で片してしまって良いのだろうか。
温かいものが飛んだ腹を撫で、掌に付着した白濁を前にして
何もかも、わからなくなる。
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