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海くんと直樹と一階に降りた。
そしたら僕にとっては当たり前で、直樹にとっては僕んちに来ると見慣れた、そして海くんにとっては信じられないであろう光景だった。
帰宅した父さんが母さんを抱き締めて、キスをした。
僕にとっては当たり前で何も気にすることのない日常の一コマだ。直樹は幼馴染ということもあって知っている。ご近所の中ではうちは評判のおしどり夫婦、というよりもラブラブ夫婦だ。
ああしてる時の2人は邪魔をするとよろしくない。特に父さんが。
だからそのまま玄関に向かって家を出た。
直樹とはすぐに別れて、海くんと並んで歩く。
「海くん、今日はありがとう」
「あ、いや、こちらこそ。また続きみたい」
「うん、いつでも来てね」
「………お前んちっていつもああなの?」
「父さんと母さん?いつもだよ。ごめんね、たぶんすぐ慣れるから」
そーゆーもんかよ、と言いたげな視線が返ってきたけどそういうものだ。
僕はそんな両親を不思議に思ったことがない。
毎日母さんに、可愛いね好きだよ愛してると言ってる父さんを見ている。
母さんは毎日、父さんにハートが盛りだくさんのお弁当を作ってることも知ってる(そのせいで僕のお弁当にまで残り物のハートが入っていたりする)
ご飯のメニューは母さんや僕の好みじゃなくて父さんが好きか、ってところが基準なのも知ってる。
今でも2人は月に1度は僕を追い出すようにして2人きりの1日を作る。
家族で出掛けていても、僕の前を歩く2人はいつも手を繋いでいる。
2人はいつまでも付き合いたてのカップルのようにお互いしか見えていない、と思う。
「僕もあんな風になりたいんだあ。好きな人を大事にしたい。好きな人に好きって言いたいし…………キスしたい」
海くんは黙って僕をみていた。
「しないよ。約束したからね。でも、好きとは言わせてね。好きだよ、海くん」
「好きだよ、海くん」
海くんは僕から視線を逸らすように俯いた。
ふわふわの髪の毛が揺れる。
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