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楽しみにしていた土曜日までは長かった。待ち遠しすぎてカレンダーと何度もにらめっこをした。睨んだところで日にちが進むことはなかったし、時間が早く感じるわけでもなかった。
この日は海くんが行くという映画館のあるショッピングモールの最寄駅で待ち合わせをした。海くんを待たせるわけにはいかないから待ち合わせの1時間前についた。
海くんの私服。どんなだろう。見た目のやんちゃに合わせてやんちゃ系?かっこいい系?可愛い系?何を着てきても多分可愛いって言っちゃうんだけどね。
海くんの服装を想像してるうちに時間は過ぎていて、目の前に海くんがいた。
「早くね?」
そう言うけどまだ待ち合わせの15分前だ。
「海くんを待たせたくなかったからね。それより、海くん私服も可愛いね。そのゆったりした首元。鎖骨が見えそうで見えなくてすごく色っぽ…」
「黙れ」
久しぶりに殴られた。
なんかおかしなこと言ったかな。ああでも可愛い。細身のパンツにゆったりした半袖のパーカー。首元から鎖骨が見えそう。でも見えない。
海くんはそのままスタスタ歩き出した。僕はついて歩く。ショッピングモールによそ見することなく映画館に入り、チケットを買う。
「う、海くん、ホラー映画?」
「おー、好きなんだけど1人で見るのは嫌でさ」
「………」
どうしよう、僕ホラー映画は苦手だったりする。いきなり飛び出てくるのもグロテスクなのも、過剰過ぎる。もう少し優しいホラー映画を作った方が売れると思う。
いや、そんなことはどうでもいい。海くんがこれを見るって言うんだ、やれ、見るんだ僕。大丈夫、大丈夫。
「苦手なら言えよ。違うの見たのに」
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