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6月の海、2
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文化祭は喫茶店に決まった。なぜか唯斗と須田はメイド服を自ら着ると立候補した。信じらんねぇ。俺は誘われても勧められてもやらない。
ホームルームでは文化祭の準備が進められる。メニューを考えろよって思うけど、実行委員を中心にクラスはメイド服に盛り上がってた。
着るの、唯斗とか須田だぞ?期待すんなよって思ってたら、本人も現実を見てた。
足を出すのは反対だと良い、クラスメート全員がいる中で人の体を綺麗だと言った。殴る、殴る、殴る。
そんなつもりで唯斗のところに行ったのに、俺を見て穏やかに、静かに笑ったあいつを見て殴る気持ちが失せた。
だからせめて、綺麗だと言うなって言ったけど無理だと言う。
好きだよ、海くん。唇が大好きだよ、その目も好きだよ、ふわふわの髪も好きだよ。足も腕も、その体全部が好きだよ。可愛いよ、海くん
そう言った。教室の中で、クラスメート全員がいる中で、臆することも照れることもなく、穏やかに、静かな声でそう言った。
顔が赤くなるのが分かった。
唯斗の後ろに見えるクラスメートも真っ赤だ。唯斗のフェチ全開の変態発言は良く聞いてるだろうけど、これはないだろうから。
2ヶ月っていう短い付き合いだけど、唯斗がこんな顔をするのは俺を見るときだけだ。
明るく元気いっぱいな印象をガラリと変え、穏やかに、静かに笑って話す。
真っ直ぐに俺を見て、俺だけに言う。
この声は、この目は、この顔は、俺だけに向けられたものだと思う。
だから、嫌いじゃない。
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