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海くんと約束した日は早めに家を出た。海くんを待たせることなんてしたくないし、待っていたら海くんが来てくれると思うとその時間でさえとても楽しい。
待ち合わせ場所で待っていると、まだ約束には早いのに海くんの声が聞こえた。
「何時から待ってんの?」
「海くん、おはよう。えっと、12時くらいからかな?」
「10分前とかでいーから」
「海くんだって30分前に着いてるよ」
「唯斗がくるの早いだろーと思って」
そう言って優しく笑った。
いつもは悪いはずの目つきが少し柔らかくなる。
ああ好きだなあ。
「早すぎるな。映画までどーすんだよ」
「海くんの誕生日プレゼント探す!」
「俺の目の前で?」
「うん」
「俺、あんま物欲ねーよ?」
そう言う海くんを連れて歩き始める。
候補はあった。けど、海くんに選んでもらったほうがいいかなあ、と思っていたからこうして選んでもらおうと思う。
僕が海くんを連れてきたのは家電量販店。
「家電?」
「候補は絞ったんだけど、好みがあるものだから選んでもらおうかなって」
「ふーん。候補は?」
「イヤホンかプレイヤー」
「実用的過ぎんだろ」
「使うもののほうがいいかなあと思って。プレイヤーはともかく、イヤホンはこだわりがあるかも知れないから」
まあ、イヤホンにこだわりがあるのは直樹だけど。
直樹はゲーム用、音楽用とか言って何本か使い分けている。更にケーブルがY字よりU字が好きだとか、U字は少ないからマグネットで止めるのが良いだの、色々とあるらしい。
海くんにもこだわりがあるかも知れないので僕が選んで買うことはしなかった。
「ならイヤホンがいいかな。プレイヤーはお下がりがようやく貰えそう」
「部屋にないと不便だもんね」
「ほんとそれ、リビングじゃ気ぃ使うし」
海くんとイヤホンを眺める。
どうやら直樹ほどこだわりはないらしい。僕よりかは真剣に選んでいたけど。
「唯斗、何色好き?」
「青かな」
「ならこれ」
「………赤色もあるよ?」
「青がいい」
海くんが選んだの全体が黒ベースで、アクセント程度に青色が入ったもの。シンプルで使いやすそうなBluetooth対応のものだった。
赤色もあるのに、好きな色じゃなくて青色、僕の好きな色。
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