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ネタでしかなかったコスプレ喫茶は本当に面白かった。
似合ってる人が少なすぎて、なのにみんな堂々と接客していてこっちが笑ってしまう。これはこれで客寄せの効果があるかもしれない。
「唯斗、そろそろ岡崎来るだろ?俺体育館で寝てるわ」
「一緒に回ればいいのに」
「別にいい。もう十分笑ったし」
直樹は思い出したのか笑っている。いや、たしかに面白かったけど。かなり悩んだ末に、直樹の言葉に甘えることにした。
「あれ、須田は?」
「2人で楽しんでおいでって言われた」
海くんは力が抜けたように笑った。
すぐ気を取り直したのか、何を食べるか考えている。
海くんの食べると言い出したのはコスプレ喫茶が売っているオムライス。ついさっきまでそこに居たけど、食べてはないからいっか。
「直樹とコスプレ喫茶、覗いたんだけどね。僕のクラスのメイドさんがどれだけ可愛いかと思ったよ」
「んなひでーの?」
「うん、あれでハート描いたオムライスとか運んできたら面白すぎる」
そうして着いたコスプレ喫茶に、海くんも笑っている。背中を小刻みに震わせて、必死に堪えている。何かあればすぐに決壊してしまいそうだ。
「おかえりなさいませご主人様ー!」
出迎えはメイトさんだった。だからこの台詞なんだろう。僕のクラスと違って、短くフリルがふんだんに使われたゴテゴテのメイド服だ。海くんは我慢の限界とばかりに吹き出す。もう止まらないと涙を出しながら笑っている。
「唯斗、ここお化け屋敷より怖くね?」
「違う恐怖がある気はする」
ハートが描かれたオムライスは、執事服を着た人が運んでくれた。どうぞお召し上がりください、なんて言ってたけどこっちはそれどころじゃない。笑いが止まらなくて、食べ始めるまでに時間がかかった。
「あーだめだ笑った。ネタクラスにも程があんだろ」
「何回行っても楽しそうなクラスではあるよね」
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