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一般公開が始まって30分もしないうちに父さんと母さんがやってきた。相変わらず手を繋いで歩いてる。いつまでもこうしてられる2人って本当にいいなあと思う。
「いらっしゃいませ、父さん、母さん」
「唯斗ってば、そんな格好するって言ってなかったじゃない」
「うん、驚かせたくって。ねえ、驚いた?父さん」
父さんは完全に固まっていた。
まあアレだろう。背は自分と変わらないくらいの息子だけど、顔は母さんに似ている。母さんが2人になってキャパシティオーバーを起こしてる。
母さんと2人して、イタズラをした。こういうところ、僕と母さんの息はぴったりだ。
「「ねえパパ、どうしたの?」」
2人して並んで問いかける。父さんは崩れ落ちた。僕と母さんは笑った。
しばらくしてようやく息を吹き返した父さん。心臓に悪い、と言いながら何度も僕と母さんを見比べる。参った、と言わんばかりに顔を伏せる父さんが珍しくて、メロメロにするどころかヘロヘロにしてしまったなあと、少しだけ反省した。
父さんと母さんは、そのあと2人で仲良くホットケーキを食べて、適当に見て帰るからと言って出て行った。もちろん、手を繋いだまま。
「今の人たちが唯斗の両親?」
「そうだよ」
「話には聞いてたけど、こんなとこに手ぇ繋いでくるか?」
「まあ、僕の両親は繋いでくるね。仲良しで羨ましい」
そっと話しかけてきた山本くんは、だから唯斗がこうなったのか、と納得したように頷いていた。
それからしばらくすると、コスプレ喫茶から佐山くんがやってきた。
そういえば、昨日直樹が見に来いって言ってたな。
ちゃんときてくれたんだ。
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