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思いがけないことが起きた時は、どうしたらいいんだろう。
今目の前にいるのは海くん。
海くんはお昼ご飯に引き上げ湯葉を食べている。直樹も、山本くんも、いない。
恋占いの石に挑戦する同級生を見てた時、海くんに湯葉を食べに行こうと誘われたのだ。山本くんとは譲り合えそうにないらしく、2人で湯葉を食べに行こう、と。
真面目な海くんは団体行動を乱したりはしない、はず。
班で行動、と言われたらそれを守るはずなのに。
それを分かっているけど、海くんから誘ってくれるなんて嬉しくて、喜んで行くと答えていた。
その後は、僕が好きな京都の名所を聞かれて、そこに向かった。電車に乗って数駅先、下鴨神社。
僕はこの神社が好きだった。
木の中を抜ける砂利道、人はそれほど多くなく、静かだ。
そんな静かな砂利道を2人で歩く。
「なんかここ、お前みたい」
「僕?」
「静かで、穏やか。なのに人が集まる。それが唯斗」
「願掛けは何したの?」
「真っ直ぐ歩くのに集中してて何も考えてなかったんだよね」
「なら今考えたら?」
「………海くんが僕を好きになってくれますように?」
「だからそれ叶ってるって。ほか」
「………………海くんの気持ちが知れますように?」
「それは聞いたら教えてやるから。ほかに」
恋の願掛け、えーと。
叶ってる、うん?叶ってる???
あと、気持ちは教えてくれる。
なんか前にも同じことを言ってた記憶がある。
待って、何を祈ればいいのか分からない。
「叶ってるの?」
「うん」
「海くん、僕をその、えっと……」
「好きだよ」
一瞬で全身が沸騰するようだった。
「海くん、好きだよ。大好き」
「知ってる」
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