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その日の夜、みんなして夜は寝ると言っていたのにご飯を食べたらまた集まっている。朝は死んだ魚のような目をしていたのに、今は爛々としている。
「え、ついに付き合ったの?」
そんなことがクラスメートに知れ渡ってしまった。
2人でデート?と問い詰める山本くんが鋭かったのか、僕の誤魔化し方が下手だったのか。たぶん後者だ。
誤魔化すのは嘘をついているようで苦手だ。黙って笑うしかできない。たぶんきっと、下手くそな苦笑い。
集まったクラスメートにげんなりした視線を向けた海くんは、僕に何も言うなよとだけ言ってだんまりを決め込んだ。
「岡崎、最近優しいなと思ったらそーゆーことかよ」
「ってか唯斗のどこが好きなの?明るいけどちょっとずれてるし大丈夫?って言いたくなるところあるぞ?」
「セックスの仕方も知らない奴と付き合ってけんの?」
などなど。僕よりもよっぽど海くんに質問が向く。
完全にだんまりを決め込む海くんは無言で無表情。
少し拗ねた唇も可愛いなぁ。あの唇はやっぱりとても柔らかかった。初めて触れた頬も柔らかかった。
みんなに一通り質問、というか言いたいことを言われた後はみんながお祝いだとお菓子を持ち寄ってくれた。
周りが賑やかになればなるほど、不思議と海くんのことを考えた。
こんなに賑やかなところにいても、僕は海くんばかり探してしまうから。
「海くん、すっごくすっごく大切にするね」
「………うん。俺も」
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