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「うん、言うと思った」
由李くんはニコニコとしながら話す。
「だから仲良くなれるように頑張る。」
ふわりと笑った顔に、一瞬頭がフリーズした。
だってあんな綺麗な顔立ちの人が1番優しそうな笑顔で話す。それだけで金が取れるくらいだ。
フリーズしてたのは俺だけでなく、クラスみんながそうだった。
だからだろうか。一瞬静寂が訪れた後、一気に周りが騒いだ。
そこで俺はハッとした。
危ない………
なんでか分からないけど、頭の片隅で警告音が鳴っている。
こいつは危険だ。そう言ってる気がする。
さっきまで騒がしかった教室も、先生の声で静かになる。
けれどこの時間は俺にとって苦痛だ。
なぜなら最初のクラスだと自己紹介をしないといけないから…。
もともと目立つのが嫌いな俺にとって地獄の時間。
自己紹介と言っても名前と渾名、趣味を言うだけ。
けれどまず友達のいない俺に渾名なんてあるはずもない。
趣味だってこれといったものはないし。
ああ、そんなことを考えてる間にも、どんどんと俺の番が回ってくる。
やばい。冷や汗が出る。
「はいじゃあ次ー。」
先生が俺を呼ぶ。
席を立ち、緊張がバレないよう拳を握る。
「櫻羽八千代。渾名は特にありません。趣味は……読書です。」
半分本当で半分嘘をついた。
読書っていっても雑誌。まあこんなの誰も気にしないだろ。
俺の自己紹介が終わり、席に座ろうとすると、後ろの方から大きい声が飛んできた。
「あ!俺今渾名思いついた!『ちよ』ってどうー?良くない?」
このクラスで場違いなやつは1人だけ…
由李くん。君はどこまで場違いなやつなんだ。
由李くんの提案に周りの奴らは『かわいー』だの『良さそう』などとクスクスしている。
「ちよかぁ。いいんじゃないか?」
先生までこう言う始末だ。
俺は早々にクラス替えを希望した。
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