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Peace
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「新田さんは今日は早くお仕事上がれたんですね。お疲れ様です」
「ありがとう。ヨルくんの笑顔を見ると元気出てくるよ」
BARでの俺の仕事は、接客。
『お前は接客をしろ。いいか、ただ話を聞いて相槌を打つだけじゃダメだ。一人一人と真摯に向き合え』
丈さんに言われた時は、接待なんか、と思っていた。
でも違うと気づいた。
BARに来る客は、お酒を楽しむだけじゃない。
特に、Peaceは常連客が多い。
みんな会話を楽しむことが多いのだ。
新田さんもそのうちの一人。
「こんな笑顔でよければ、いくらでも」
「ふふっ、照れるなあっ」
新田さんがカウンターに肘をつき伸び上がってきた。
急にグ、と笑顔の新田さんと距離が近くなり、驚いて目を見開く。
「おい、ヨル。氷足りなくなったから作ってきてくれるか」
「っあ、はい。...すみません、行ってきますね」
「...おう」
「あー...終わった」
「おー、店閉めありがとな。ほい、オレンジジュース」
「ちょ、店のものじゃ...」
「いいの。どうせ全部俺のだ」
突き出されたオレンジジュースを口に含み、喉を潤す。
「最近新規が増えて客数多いな」
「だね。常連さんも最近頻繁に来てくれるし。...もう一人雇ったら?」
いくら小さいBARとはいえ、人が足りない。
そう思って言ったのに、何故か睨まれた。
怖い。
「誰のせいだと思ってんだ...まったく、」
「?」
何を言っているのかよく分からず、首を傾げる。
「あー、いいいい。じゃ、俺はあがる」
「...おやすみ」
丈さんは頭をグシャグシャと掻き回し、おやすみー、と言って店の奥に消えていった。
人、増えるといいんだけど。
俺はヘロヘロになりながら二階に上がった。
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