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「んん……」
昨晩閉めきれていなかったらしいカーテンの隙間から射し込む日の光に目が覚めた。体を起こし窓から外を覗くとまだ時間は早いようで朝と夜を混ぜたような空が広がっていた。もう少し寝ようと布団に潜るが一度覚めきってしまった頭では中々眠気は戻ってこず諦めて布団から出た。
「流石に早すぎるんだけどなぁ」
普段ならこんな早くに起きることはないし何をしようかと考えながら寝間着を着替える。
「んー、ゆっくり朝ご飯でも作るか」
でもその前にと寝室を出て洗面所へ向かい顔を洗って身支度を済ませる。顔を拭こうとしたらタオルがないのに気づいた。
「ねぇ、タオルだ……」
言いかけて今家には自分ひとりなのを思い出す。仕方ないとびちょびちょの顔のままタオルを取りに行った。
「やっぱひとりなの慣れないなぁ」
顔を拭きながら今は居ないキミのことを考える。すぐ帰ると言ってキミが出ていってからもうすぐ1ヶ月が経とうとしている。何処がすぐなんだと自分が歩いた後の濡れた床を拭きながらこれもキミのせいにして帰ってきたら文句を言ってやろうとひとり頬を膨らませる。
「よしっとりあえず朝ご飯だ」
今ひとりで怒っても仕方ないとタオルを籠に放り込んでキッチンに向かう。
「昨日のスープ残ってるしー、トーストでいっか」
スープの鍋を火にかけてトースターにパンを入れてスイッチをいれる、これで良しと次はフライパンを火にかけて冷蔵庫からベーコンと卵を取り出す。熱されたフライパンにベーコンを入れるとじゅうじゅうと焼ける音と隣の鍋からするくつくつという音、どちらも美味しそうな音だと少し気分が上がる。
「あ、パン焼けた」
チンっという音に振り返ってトースターを見る。
「あー、2枚焼いちゃった」
自分の分だけでいいのにキミの分まで焼いちゃったじゃないか、と文句を漏らしながらベーコンを皿に移す。
「まぁ仕方ない、パンに罪はないからな」
冷蔵庫からもう1個卵を取り出して先に出してたもう1個と一緒に目玉焼きにする。キミが好きなのは固め、僕は半熟が好きだ。
「目玉焼きだって2回に分けて焼かなくていいんだ」
半熟の目玉焼きをベーコンと同じ皿に移してテーブルに運ぶ。スープもよそってトーストも皿に乗せて運んだ。冷蔵庫からバターとオレンジジュース、バターは先に出しておけば良かったなと後悔しながら席についた。
「いただきます!」
トーストにバターを塗ろうとするがやっぱり固い。それでもなんとか格闘しながら塗り終えてトーストにかじりついた。手を伸ばした目玉焼きの半熟加減が完璧でひとり満足気に頷く。トーストも目玉焼きも1つ目は美味しく頂けたが2つ目からはちょっとお腹が苦しかった。これもキミのせい、とまた1つ言いたいことが増えた。
「……ごちそうさまでした!」
どうにか完食して皿を片付ける。お腹が膨れすぎて今すぐ皿を洗う気にはなれず一旦椅子に戻ってお腹を休める事にした。
「食べ過ぎた……これもキミのせいだ、そもそも食器の片付けだってキミの担当じゃないか」
作るのは僕だから後片付けは俺がやる。言い出したのはキミじゃないか。
「……早く帰ってきて片付けてくれよ」
誰も聞く人の居ない独り言に空しくなって結局自分で食器の片付けをした。
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