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夕雨side
校門で雅日にキスをした時、俺はとうとう自覚した。
雅日が好き。
雅日が他の人に触れられたくない。
大切にしたい。
でも雅日は俺の事が苦手だと言っていた。
この恋は実らない。
恋は切ない。
だからあまり好きじゃない。
俺は同性とかあまり気にしないが、雅日は女が好きなんだろう。
この気持ちは絶対に伝えるべきではない。
それから校門が開き、2人で学校の中に入った。
2人しか居ない教室。それが何だかとても嬉しかった。
「一ノ瀬って兄弟いる?」
「へ、いきなりなんで?」
雅日の事を沢山知りたいから。
なんて言えるわけがない
「前から末っ子ぽいな。と思ってたから。
実際どうなのかなーって」
「3人兄弟だよ。
上に2人。もう家には居ないけどね。
神谷は?」
だよな。やっぱり末っ子だよな。
なんかそんな感じ出てる。
家族の話はあまりしたくない。
嫌な思い出しかないから。
「俺も3人兄弟。上に2人。
もう成人してる。2人とも。」
「一緒なんだ!!
お兄さん仕事何してるの?」
これだけは言いたくない。
でも、雅日の真っ直ぐな目には勝てない。
どうしよう。と困っていると
「雅日!おはよう!早いね!」
と中村が入ってきた。
ナイスタイミング……
二人きりの空間が壊されたのは嫌だったが、家族の話をしなくて済んだ。
それから大したことも起こらずに1ヶ月が経った。
そろそろ雅日、俺と居たくないよな…
解放してあげないと。
本当は嫌だ。
ずっと俺のそばで笑ってて欲しい。
けど、俺から離れることで雅日が幸せなら。
「一ノ瀬、ちょっといい?」
そう声をかけた。
これで雅日と2人きりで話すのは最後だろう。
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