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言わないと…
言わなきゃ多分、もう神谷は俺に話しかけてくれない。
どうしたら?
他になにか方法は…?
「じゃあね。」
神谷は出ていってしまった。
最初から最後まで顔は見れなかった。
見たら泣いてしまいそうだから。
神谷の俺の前で見せる優しい顔、やさしい声。全部好き。
伝えなきゃいけないのに。
追いかけないといけないのに。
足が地面にくっついたかのように動かない。
うごけよ!なんで!なんでこうゆう時だけ!!
なんで俺はこんなに弱いんだよ!!
「夕雨…好き…」
誰もいない音楽室には小さい声で言ったのに反響して余計夕雨の事が好きだと思い知らされた。
「うぅ…ふ…」
声をどれだけ押し殺しても出てしまう。
それくらいに夕雨が好きだった。
「行かないで…好き…
全部好き…」
どれだけ言ったって届くわけなかった。
なんで早く伝えなかったんだろう。
毎日一緒にいたんだからいつでも伝えられた。
日常が日常でなくなる恐怖。
涙が止まらなくて、泣いていた時は必ず夕雨が見つけてくれて優しく抱きしめてくれた。
それを思い出し、また泣いてしまった。
でも…また見つけてくれるんじゃないかって。見つけて、どうしたの。なんで泣いてるの。って、優しく声をかけてくれるんじゃないかって。
期待してしまう。
伝えなきゃ…必ず…
遅くなってもいい、少しずつ伝えなきゃ…
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