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夕雨side
雅日の口から好き。と言われて涙が堪えられなかった。
両思いだったのか…よかった。
すごく安心した。
よく分からないけど、よかった。
好きだった。んじゃない、今も好き。という事を伝えたら雅日は驚いた顔をしてすぐに涙を流した。
「よかった、よかったあ…」
俺と同じ事を思っている。
そんな、些細なことが凄く嬉しい。
でも、付き合えない。
それはすごく悲しい事。
付き合いたいけど、それは雅日の望む幸せじゃない…
「なんで過去形だったの。
なんで1人で呟いてんの。馬鹿…」
「好きって気持ちは封印しようと思ったから。
最後に好き。って言いたかった。」
「馬鹿じゃないの…封印しなくていい…」
それは無理だ。雅日が幸せになる事が1番良い。
「何言ってんの、封印しないといけない事でしょ。
そうしないと雅日が幸せになれない。」
雅日は目付きを変えて俺に抱きついてきた。
いきなりの事でバランスを崩し、雅日が俺に馬乗りする感じになった。
雅日は俺の上で俺の制服をぐしゃっと握りしめた。
「なに、俺の幸せって…
俺はお前といることが幸せなのに…
なんで分からないの馬鹿…」
「雅日は雅日に見合った美人な人と結婚して、可愛い子供を育てて、その美人な奥さんと幸せになる事が幸せの道でしょ。
俺といたって俺は雅日に何もしてあげられないし、しようと思っても何も出来ない。
雅日ならきっと幸せにしてくれる人と出会えるよ。」
雅日は泣きながら俺の胸をバンバン叩く。
雅日は力が弱い方だから痛くはないが少し苦しい。
「俺は子供なんかいらない。
夕雨と一生一緒にいる…
俺は夕雨と一緒にいるだけで幸せなのに…なんで他の人といる方が幸せになれるなんて言うの…
大体、何もしてあげられないって何…
もう十分すぎるくらい幸せなのに…
一緒にいるだけで幸せなのに…
幸せにしてくれる人と出会える。なんて…馬鹿…ばか…もう出会ってる。目の前にいるのに…」
泣きながら訴える雅日。
一緒にいるだけで幸せなんて俺だってそうに決まってる。
「ごめん…」
謝るしかできない。
素直に俺も。だから付き合ってください。って言えたらいいのに。
俺は素直になれない。
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