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「夕雨様。着きましたよ。」
ぐっすり寝てた…
3時間近くも車で寝てたのは初めてだ。
荷物を持ち、1番嫌いな家に入る。
いや、ここは家とは呼べないな。
様々な人が出入りする。
地下牢だってある。
武器庫まである。
自分の部屋に入る。
広すぎる部屋に大きなベッド。
柔らかすぎるソファ。
床は自分が映るほど輝いている、大理石。
こんな暮らしに不便などない。
なにか欲しければ誰かに言えば用意してもらえる。
でも俺はこの家が嫌いだった。
荷物を置いてまずは兄さん達の部屋に行く。
戸を3回ノックして、返事を待つ。
返事を聞いたら音をたてないようにドアを開ける。
小さい頃から嫌という程教えこまれたことだ。
「失礼します。」
「お疲れ様。あと10分後に父上の所へ行くよ。」
部屋には双子の兄達がいる。
1人は優しい。
もう1人は俺の事をすごく嫌っている。
「夕雨、なるべく俺の視界に入るな。」
入りたくて入ってる訳じゃない…
でも、口答えは出来ない。
「すみません。気を付けます。」
最悪だ。
この家には好きなものは無い。
この家で好きと思ったことは数えるくらいしかない。
気まずい空気を10分も耐えた。
今すぐにでも逃げ出したかった。
「よし、行こうか。」
そう言って3人で歩き出した。
こうやって並んで歩くのはすごく、久しぶりだ。
長く、広い廊下をしばらく歩くと俺の背の何倍も高いドアがある。
そのドアの奥には嫌いな人が待っている。
そう考えるだけで頭が痛くなってきた。
兄さんがドアをノックすると
「入れ」
と、声が聞こえてきた。
あぁ、吐きそう…
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