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夕雨side
雅日が泣きながら電話をしてきて、自分を殺したくなった。
雅日があんなに泣くなんてことなかったのに、それだけ辛い思いをしていた。
それなのに1番傍にいてあげられなかった。
「夕雨っ、いつ帰ってくるっ?」
嗚咽を頑張って堪えながら話す雅日。
今すぐに帰るしかない。
今すぐ帰って抱きしめるしかない。
それが出来ないくらいなら死んだ方がマシだ。
「ちょっと待ってて。」
通話を切らずにそのままポッケに投げ入れ、ここまで送ってくれた運転手にヘリの用意をしてもらい、直ぐに出発出来るようにしておいてほしい。と言って兄さん達の元へ急いだ。
兄さん達の部屋をノックして入り、返事が帰ってくる前に中に入った。
「兄さん。今回、俺のわがままを許して。
俺は今すぐ帰る。」
「何言うてんねん!!バカ言うなや!!」
声を荒らげたのは玲雨兄さんだった。
こうなることは大体予想していた。
「ごめん、何されても、何言われても俺は絶対に帰らなあかんねん。」
「どないしたん、夕雨。
何があったか説明してや?」
優しく言ってくれるのは爽雨兄さんだ。
「大切な人が今苦しんでる。
声を出して泣くくらいに辛いことが起きてた。
でも俺はその時傍にいてやれんかった。
それが1番悔しい。自分を恨んだ。
これ以上悲しい思いさせる訳にはいかんねや…」
「大切な人…?
何を言うてんねんて。
夕雨、お前は幸せになってはいけない奴やったやろ?」
「わかってる!!!
それは俺が1番よく分かってる!!
俺は幸せにならへん!!!
けど、大切な人が不幸なるんは絶対に嫌やねん!!
分かってや…玲雨兄さんやって爽雨兄さんの事大切やろ…?
お願いや…行かせて…」
「夕雨、行っていいよ。
今すぐ行かないと俺がぶん殴るで。
父上には俺達が上手く言っとくわ。
俺も玲雨が大切やし、玲雨が遠い所で苦しんでたとしたら絶対に何があっても飛んでいく。もちろん、夕雨もな。
ほら、玲雨いいやろ?」
爽雨兄さんは微笑みながら言ってくれた。
「今回だけやからな。
それが終わったら絶対に戻ってこい」
「本当にありがとう…」
俺はヘリがある所へ全速力で走った。
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