アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
85
-
玲雨side
「結局は弟想いのいいお兄ちゃんやんけ。」
爽雨が嬉しそうに笑っている。
「……当たり前やろ。俺あいつの事嫌いやないからな。
ほんまは好きやで。大好きやけど、俺が夕雨を嫌いって設定の方が都合がいいんや。
あいつにはちゃんと幸せになってもらいたいんやけどなあ。
ほんまにあんな事言うの辛いんやで?」
夕雨の事は大好きだ。
血を分け合った兄弟だから。
でも、俺が嫌って、夕雨も俺を嫌ってる方がちゃんとバランス保てる。
少しでも俺に矛先が向けば影で悪口でも何でも言って多少のストレス発散にはなるはずだ。
夕雨は事ある毎に俺達と比べられてきた。
その俺達が夕雨の事大好きで夕雨も俺達の事を大好きだと駄目なんや。
大好きな人は恨めない。
少しくらい恨んだりしないと心が壊れてしまう。
「俺も夕雨の事大好き。
でも、玲雨が悪役になるのも俺キツいねんで…
幸せになってはいけない。って父上が夕雨が小さい頃に言った言葉やろ?
なんで今更言うん?」
「俺らもずっと言われてたやろ。
他人には気を付けろ。って。
正直心配やねん。変な奴に捕まって夕雨が不幸になるくらいならずっとこの家にいて俺の監視下に置いておきたいねん。
心配性が過ぎるのは分かってんねんけどなあ…
たった一人の弟、そう簡単に不幸にさせたくないやろ。」
爽雨は涙を流して俺に抱きついてきた。
体格は爽雨の方が若干小さいが、そんなに変わらないからいきなり抱きつかれたから後ろへ倒れてしまった。
「心配性のクソ兄貴…
ばか、ばか、ばーーーか。ばか…」
俺のスーツに顔を埋めてばか。とずっと言っている。
それがとても可愛くて頭をくしゃくしゃとする。
「やめろや…朝せっかく玲雨がやってくれたのに…」
「そんなん毎日やってるやん」
俺は毎朝寝ぼけている爽雨の髪の毛をセットするのが日課になっている。
セットと言っても盛り盛りみたいなんじゃなくて前髪を横に流すだけだけど。
「俺玲雨のそういう所昔から大好き。
夕雨をいじめてた奴ら裏でボコってたもんなぁ」
「うわ懐かしいな。
……うわっ、父上の所行くん忘れてた!
はよ行かな!!」
そうやった!!と慌てて髪を直し、父上の部屋まで走る。
少し息を整えて、ドアをノックする。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
85 / 144