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雅日side
『大切な人』夕雨がそう言ってくれた。
嬉しかった。
あまりそういうことを夕雨は言わないから。
てゆうかヘリってどんな金持ちだよ…
でもそこまでして来てくれるって思うと本当に嬉しかった。
通話しておきたい。と言っても優しく分かったと言ってくれた。
本当に夕雨を好きになってよかった。
もう人の事、信じられない。
怖い。
俺は自分の家に向かっていたが夕雨の家へ向かった。
早く会いたい。
直接声を聞きたい。
抱きしめて欲しい。
夕雨とは通話していたが、お互い何も話さなかった。
話さなくても夕雨と繋がっているという事だけで少しは気が楽だった。
電話の奥では色々な音が聞こえてよく分からなかったけど夕雨はとても焦っているようだった。
いつもはずっと落ち着いているのに。
でもそれが逆に嬉しかった。
暫くしてバタバタと音がして走っている音がした。
「雅日っ!!」
「夕雨っ…」
会えた…
声を聴けた…
「ごめんっ…」
走って俺の所まで来て直ぐに抱きしめてくれた。
望んでいた事を全てしてくれた。
引いていた涙がまた溢れてきた。
「とりあえず中に入ろっか。」
手を繋いだまま夕雨の家に入った。
そのままリビングへ行って2人で床に座った。
「雅日。本当に…本当にごめんね…」
優しい暖かい手で頭を撫でてくれる。
「怖かったっ…
でもっ、帰って来てくれて本当に嬉しい…
我儘言ってごめんね…」
体はまだ震えていた。
それほど本当に怖かった。
「雅日の願いは何でも叶えるよ。
俺は…今すぐにでも自分を殺したい。
雅日が辛い思いしてる時、俺は助けてやれなかった。傍に居られなかった。」
驚いた。
夕雨がこんなに自分を責めているところは見たことがなかった。
いつも完璧だからこそこんなに弱々しい夕雨は初めてだった。
「夕雨は何も悪くない…」
「声も体も震えてる。
ねぇ雅日。何があったか聞いてもいい?」
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