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「はーい!」
元気な返事とは裏腹にシンクの角にそっと卵を運びコンコンと優しくノックをするように当てる。加減が弱すぎて卵にひびは入らない、何度か繰り返していたがやがて諦めると綺麗なままの卵を音優に差し出した。
「わるのは彩音がやるからひびだけやって」
「うん、いいよ」
卵を受け取りひびを入れる、綺麗にひびの入った卵を彩音にそっと返した。無理に力を入れて卵が潰れなくてよかったと音優は朝から掃除をしなくてすんで安堵した。潰れた卵の掃除は結構めんどくさい。
「音優おにいちゃん!みて、われたよ!」
「上手だねありがとう」
ボウルのなかには綺麗に割られた卵、殻は入っていない。上手に割れたことに機嫌の良くなった彩音がもう一回やる!と次の卵に手を伸ばしたため音優はそっと制止してひびを入れてから彩音に手渡した。
「2こめもできたよ!」
「うん、上手上手」
「あら、何してるの?」
音優が振り返るとお母さんが降りてきたところだった。
「おかあさん!あのね、彩音ねたまごわれたよ!」
お母さんの姿を見るなり駆け寄っていった彩音、早速卵のことを報告している。
「本当、彩音は上手ねきっといいお嫁さんになれるわ」
「ほんと!彩音ねひろとくんのおよめさんになりたいの!」
「まぁ!ひろとくんってどんな子かしら?」
急に始まったガールズトークにそそくさと退散し朝食作りに励む。といってもフレンチトーストなんてそんなに難しいものでもないのですぐに作り終えてしまう。
「はい、朝ごはん」
「あぁ、ありがとう。音優は食べないの?」
「んー、俺はいい。シンクにあるやつは降りてきたらお父さんと奏音にあげてね」
「そう、わかった」
「それでね、そのときひろとくんが……」
まだまだ続くらしいガールズトークを後に音優は二階にある自室へ戻る。ベットをみると忘れかけていた眠気が戻ってきて音をたててベットに倒れこんだ。スマホを見れば現在時刻八時過ぎ。
「一時間だけ、おやすみなさい……」
音優は自分に暗示をかけるようにそう呟き静かに目を閉じた。
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