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始まりの値段は100円でした6
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そんな出会いをしたのは数日前のこと。
あれに100円の価値があったかどうかは定かではない。
けれど一つだけ確かなのは、今僕は激しく後悔している。
「うーん………」
男にしては可愛らしい顔が眉間にシワを寄せて至近距離から目を覗かれる。
ふわふわの髪はわたあめみたいで甘そう……なんて第一印象を持った。
けれど今の状況はそんな可愛いものではない。
顔を動かさず目だけを周囲に向ける。
ここは不良の巣窟(と勝手に呼んでる)である空き教室。
卒業まで絶対に近付かないと決めていた場所だったのに……。
遡ること十数分前。
いつも通りに登校して、いつも通りに授業を受けていた僕。
そんな平穏が壊れたのは昼休みが始まった瞬間だった。
お弁当を広げ、いざ食べようとしたその時、急に教室の中がざわついた。
何だろう?と声の方を見れば、見覚えのある水色……末岡くんの姿を見てしまった。
あ……今日も綺麗な水色……じゃない。
え、今目が合ったのは気のせい?気のせいだよね。
うん、きっとそうだ。
気にしない、気にしない。今日は大好きな卵焼きが入ってるんだ、いただきまーー。
「見ーっけた!」
弁当を映す視界の端に見える手には光輝く指輪。
あー…見覚えあるなぁ……。
箸を口にしたまま恐る恐る視線を上げると、予想通りの顔がある。
「仁科、お前本当に地味な。見つけんの大変だった。」
「………ははは、どうも。」
出来れば一生見つかりたくなかったです……。
「あ!手作り弁当じゃん!作ってもらってんの?」
「あ、いえ……自分で……」
「すげーっ!この卵焼きも?」
「はい…一応……」
「マジか!すげーな!んじゃその弁当持って、行こっか。」
行く?行くって……
「……何処に?」
「皆のとこ。」
あ、これは集団カツアゲの予感………。
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