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始まりの値段は100円でした11
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いつもは絶対ぜーったい近付かない駅前のゲーセン。
「ハルちゃん、どうしたの?」
ゲーセンの入口で鞄を抱えたまま固まった僕を白石くんは不思議そうな目で見つめてくる。
いつの間にかあだ名がハルちゃんになったらしい僕は、顔を引きつらせた。
「あの、ぼ、僕やっぱり、帰ろうかな…」
「あ?」
一歩後退ると背中がぶつかる。
振り向けば不機嫌な顔で見下ろす真夏先輩の顔があった。
「何今更帰ろーとしてんだよ?」
首根っこを掴まれて僕の体は押しやられていく。
こ、こんなの酷いよぉ〜…帰りたい……今すぐ帰りたい……!
だって、だってこの集団めちゃくちゃ目立つんだもん!!!!
いや分かってたよ。だって学校にいたって目立つ人たちだもん。無駄にキラキラしてるし、そりゃ目立つよ。
でも!分かってたけど!僕は違うのに〜。
入店早々、周りの視線を感じた。
何やらひそひそ話をする人達もいる。
ほらぁ、だから嫌だったのにぃ!
「李久じゃん、久々ー!」
急に飛んできた高い声は白石くんの名前を呼んだ。
「みーちゃん、久々!」
呼ばれた白石くんもまた負けないぐらいのテンションで声の主へと向かっていく。
見れば最早何を守れるのだと思うぐらいのスカート丈の女子高生。
明るめの茶色いロングヘアー……ぎ、ギャルだ……。
「おー、おー、相変わらずモテるこった。」
「真夏、男の僻みは醜いですよ。」
「るせーな、僻んでねーよ。」
言い合いをする二人を他所に白石くんは衣川先輩の手を引いて、ギャルの子と共に店の奥へと消えていく。
「チッ……お楽しみってか。」
「みたいですね。」
「にしても、本当アイツって何考えてっかわかんねーよな。」
残念ながら首根っこを掴んでる手は離れてくれそうにないので、真夏先輩の呟きに恐る恐る訊き返す。
「…それって……衣川先輩のこと、ですか?」
「あ?だから聞こえねーんだよ。」
「ひぃ、す、すみません!」
怖い怖い怖いよぉ……至近距離で睨まないでぇ…!
「真夏、やめてあげなさい。怯えてますよ。」
「だーから、聞こえねーんだって。」
「全く……。何を考えてるか分からないのは李久の方ですよ。」
真夏先輩に代わって真冬先輩が答えをくれる。
「そーそー。まあ、衣川も衣川だけどな。」
呆れたため息と共に僕の首根っこは解放された。
「それより呼ばれてますよ。」
そう言って真冬先輩が指差す先には腕を振る末岡くん。
いつの間にあんな所に………。
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