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始まりの値段は100円でした14
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「お……おぉ?……うぉ!やったー!やるじゃねーか!」
真夏先輩からそんな歓喜の声が聞こえたのは、100円玉4枚目のこと。
な、何とか取れた……良かった……これで死なずに済む…。
取り出し口からフィギュアの入った箱を取り出して、末岡くんへと手渡す。
「はい、どうぞ。」
「に、仁科ぁぁぁぁ!何てすげー奴なんだ!最っ高だよ、ほんと!」
て、テンション高いなぁ……。
末岡くんは嬉しそうにフィギュアの箱を抱え、隣では真夏先輩が「まじで趣味わかんねー」としかめっ面をしていた。
「お見事でしたね。」
微笑んだ真冬先輩。
これは褒めてもらえてるんだよね…。
「あ、ありがとうございます。」
「よくやられるんですか?」
「はい……好きなので……趣味なんです。」
「クレーンゲームがですか?」
「はい……」
「それはまた面白い。」
クスクスと僕を笑う真冬先輩を見上げていたら、間に真夏先輩が入り込んでくる。
「何話してんだよ?」
「いいえ、大したことではないですよ。ね?」
最後は僕への問い掛けだ。
疑うような目付きで真冬先輩を睨む真夏先輩は、次に僕へと視線を向けたので慌てて頷いた。
それなのに真夏先輩は一向に疑いの目を向けたまま。
ぼ、僕何かしちゃったのかな……。
ど、どどどどうしよ……………。
「ふふ、真夏そんなに睨んだら可哀想ですよ。ほら、まるで小鹿のように震えてるじゃないですか。」
「………別に睨んでねーよ。元々こういう目付きだ。」
ふん、と鼻を鳴らしてそっぽを向いた真夏先輩を真冬先輩は目を細めて見つめた。
それから、ソッと僕に耳打ちをする。
「すみませんね、素直じゃないんです。でも中身は悪い人ではないんですよ。」
少しばかりヤキモチ妬きなんですけどね、おまけのように告げられた台詞だけれど、真冬先輩は嬉しそうだ。
耳打ちに気付いた真夏先輩が、また睨むように僕らを見る。
「今度は何こそこそ話してんだよ?」
「ふふ、だから大したことではないですよ。」
納得のいかない様子の真夏先輩は盛大な舌打ちをする。
や、やっぱり怖いよぉ……。
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