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悪い子 6
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ky side
先程の高揚は薄れ、今はただ気まずさだけが漂う空間で、俺は罪悪感に押し潰されそうで。
だけれど俺は加害者であるわけで、被害者のレトさんの前で泣くなんて許されるわけがなかった。
レトさんは、もう俺を嫌いだろうな。
そう考えると胸がつぶれそうで。
どうしてあんなことしたんだろうって何度も思った。
レトさんの後処理をしてるときに、意識は無いのに腰の痛みに呻くのを聞いて、俺は初めて罪を自覚した。
さっき起きようとしたときも、彼は痛みで動けないらしかった。
なんてことをしてしまったのだろう。
俺はレトさんを、愛する人を傷つけた。
情けなくて悔しくて、何より申し訳なくて、涙が溢れそうになる。
「なぁ…キヨくん」
ふいに背後から声が聞こえる。
急いで顔を拭って、笑顔を作り振り返る。
「どうかした?レトさん。」
レ「いや、その、もう歩けそうやから、帰ろかな思て。服、返して。」
「…ん。わかった。」
普段の会話すらこんなにぎこちないのは初めてで。涙を堪えたら鼻がツンとした。
レトさんに服を返す。今着替えるの見たらもう一生許してくれないかな、そんなことしなくてももう終わりになっちゃうのかな。駄目だ、泣きそう。終わりなんて辛すぎる…
…俺はまだどうしようもなくレトさんが好きなんだ。でも……自業自得だ。だから、泣けない。
着替えは結局見なかった。
俺は荷物をまとめたレトさんを玄関まで見送る。
「…じゃね、レトさん。」
言葉が喉に貼っついて全然喋れない。息苦しい。消えてしまいたい───
「…キヨくんはついてきてくれへんの?」
「…ぇ」
「おまえはおまえが犯した奴を、こんな寒空の下放っぽってなんとも思わん奴なんか?荷物持ちくらいしてや。痛いんやから」
「……わかった」
毒づくレトさんはこちらと目も合わせない。一緒に帰ろうって言うから許してくれたのかなってほんのちょっとだけ思ったけど、やっぱり、許せるわけないよな。
…わかってたけど、今はレトさんの隣にいるのがいちばん淋しい。
帰る道程でも、何も出来なかった。レトさんを見るのが……怖かった。自己嫌悪の言葉がただただ頭の中を飛び交って、言わなきゃいけない言葉が見つからなくて。
そうして駅に着いた。
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