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俺と出会う前にもたくさんからかわれて、仲間外れになっていた紅河の性格はとても内気で人の目を見ることにも見られることにも恐れを抱いていた。
だから初めて会う俺にすごく警戒し恐怖の対象として見て、また虐められると、そう思ったらしい。
だけど、獣人のことも理解していなかった俺は素直な気持ちをぶつけた。
『綺麗だ』
その言葉は紅河の心を軽くした。
俺の母親と紅河の父親と一緒に住み始めて、俺と紅河は本当の兄弟のように毎日一緒に居た。
どこへ行くのも一緒、遊ぶ時も、ご飯を食べる時も、トイレもお風呂も眠る時も。
手を繋ぎ笑いあった。
だから紅河が誰かに虐められていたらすぐに駆けつけ、相手を殴り飛ばした。身長も俺の方が大きく女の子みたいに細く貧弱だった紅河を、いつも守っていた。
(なのに・・・・今は昔とは逆だな・・・・・・)
電車内の窓を見れば自分の姿が写り込んでいた。
身長は170を超えることはなく、筋肉も付きにくいのか筋トレをしてもさほど効果が現れることはなかった。
成長するにつれて女と見間違われることが多く、私服でいれば声を掛けられることも増えた。
特別髪が長いわけでもないのに、間違われるとか、男の自分からすれば納得いかない出来事。
そんなことを考えている内に電車は目的の場所へと辿り着き、改札口を抜けて学校へと向かう道をただただ重い足取りで進んだ。
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