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そこまで話しておいて、どうして口を噤む必要があるのだろうか?何をそんなに黙ることがあるのだろうか? 俺が咄嗟に紅河の右手をぎゅっと握りしめた。暖かくて俺の手よりも大きなその手が、今ここから逃げ出さないように。
沈黙が長く続き、先に痺れを切らしたのは紅河の方だった。諦めた様子で溜息をつきソファに背を預け、空いていた右手で顔を抑え込みまた溜息をついた。
「・・・・・・最初から」
「え?」
「初めて会った時から、俺は分かっていた」
『初めて会った時から分かっていた』そうはっきりと言われた時、全身の力が一気に抜けてただひたすら目の前の現実を受け止めきれない自分がそこにいた。
今まで他人事のように聞いてきた話が、いざ自分の身に降りかかり目の前に直面してやっとコトの重大さが理解できた。
いや、理解できたフリをしていて実際問題、理解どころか受け入れることすらもままならないものとなっていた。
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