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痛む腰を忘れて立ち上がり階段を駆け下りた。
今の自分の状態も忘れて紅河を追いかけに外へ出ようと玄関の扉に手を掛けた瞬間に義父の将道さんと母親が並んで立っていた。
そしてすぐに将道さんの表情は笑顔から一変、険しい表情に変わってしまい俺の肩を強く掴まれた。
「明君、外へ行ってはダメだよ。薬をちゃんと飲みなさい」
そう行って強い力で家の中へと引き戻された。
「嫌だ」と言おうにも将道さんの迫力に気圧され何も言えなくなってしまい素直に家の中へと入る。
リビングにあるソファに座り、母親から差し出された薬と水を受け取り一気に飲み込んだ。
そしてそこから話が始まると思ったが普通の会話をして笑い合う光景が目の前には広がっていた。
紅河のことも学校での出来事もすでに二人の耳にも届いているはずなのに、二人は一向に話を切り出そうとはしなかった。
きっと俺を思ってのことなんだろうと思うけれど、それでもいいのかなと思いもしたがそれではいけないと思い俺は二人に自分の身体の事を聞いてみた。
「俺は・・・・両性なんだろ?だけど、これからも男として生きるし結婚だって・・・・」
沈黙を破り、今の自分の身に起こっていることにちゃんと向き合わないといけない気がした。
そして、自分が紅河を追い込んだ結果を招くこととなり己の無力さを思い知ることにもなった。
俯いていると目からは水が流れ落ち、自分がこんなにも涙もろいとは思いもしなかった。
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