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すっかりと日が落ちてしまい外は暗く、時刻は夜の8時をまわったところだった。
俺はずっと紅河にしがみ付き泣いていた。一瞬泣き疲れて寝てしまったがすぐに目を覚まし、また紅河に強くしがみ付き、今度は泣かずに紅河との会話を試みた。
でも何をどう話、聞き出したらいいのか悩む俺は、やっぱりヘタレで弱い人間。そして空気を読んでくれたのか紅河から口を開き話し始めた。
「明?起きてる?話を・・・・しても大丈夫?」
俺は頷き紅河の話を静かに待った。
頭上からは鼻息と共に、俺を抱きしめる紅河の腕に力がこもり、その痛みが心地いいと思えた。
「ここ最近、いや、数ヶ月前から俺は明を避けていた。それはね、明が嫌いになったとかじゃないんだ。フェロモンが嫌とかでもない。俺自身が明のそばにいることが許せなかったんだ。・・・・俺にとって、明は何よりも大切で愛しい存在。出会った時から明のフェロモンを嗅げてすげぇ嬉しかった。この人が俺の嫁になるんだって・・・・いつも思っていた。だけど・・・・嗅げば嗅ぐほど俺は本能に近づき、明を何度も襲いかけた。その都度、親父が止めに入ってたの・・・・お前は知らないよな?ははは、目がまん丸。明は可愛いな・・・・・・」
淡々と話していく紅河。俺はと言うと驚きを隠せずにいた。
出会った時にすでに紅河は将来を共にする人だと理解し、ずっと側に居てくれていた。
甘い匂いは俺をまとい、紅河をまとい、常に睨み誘惑している。俺自身が分かっていなくても本能同士引き寄せあい繋がっていたのだろうか。
「俺はね、自分の意思とは関係なく興奮して明を犯そうとする自分が嫌なんだ。力の加減もままならない、欲望を満たすだけに明を抱くなんて、この前明を襲った二人みたいになりたくなかった。・・・・自分が怖いんだ」
「だから・・・・俺を避けたの?」
俯いたまま頭を縦に降る紅河の顔を覗けば、目から一筋の涙が流れていた。
身体だけが大きく成長してしまったけど、中身は昔とはちっとも変わらず泣き虫の紅河が目の前にいたのだ。
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