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嗣子 ー三成随想ー
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秀勝は幸せにならんなあ。
三人が三人とも死んでもうた。
天下人はぼんやりと言う。
当たり前だと俺は思う。
於葉奪って、逝かせて、それで自分だけご栄達か。
だから俺は、仕事はする。
けれどそれだけだ。
誰とも誼(よしみ)は深めない。
おまえの周りで踊ってるやつら、全部虫が好かぬ。
三杯の茶も茶番。
お胤ついたは信長様の姪御。
おまえが焦がれた姫様より、大ぶん劣る顔容(かんばせ)の娘。
それを得たいがために
末の姫様から片づけていった。
武家に。
次の姫様は公家に。
年降りしかも妹らより高位なお家に嫁ぐとしたら、天下人の妻になるよりない。
そのようにして、老猿は姫を得た。
本当にほしかったのはその母。
それだけは厭だと、柴田殿と手に手を取ってあの世へ逃げおおせた。
女としては一流、母としては…
まあ、言うてはやるまい。
ふたたびの嗣子。
多分…
同じこととなろう。
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