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本物の俺に
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夢を見た。公園で見た男達が俺の周りを囲み笑っていた。
それが怖くて叫んでいると、急に暖かくなって優しい香りに包まれて、心が落ち着いていくのがわかった。
そして目を覚ますと、昇兄が俺を抱き締め俺を上から見ていた。
「竜、おはよう」
優しく微笑んで言った挨拶は、とても甘く溶けてしまいそうだった。
「おはよう、昇兄。ねぇ?もっと近くに来て?」
「ん、いいよ。どうしたの?何か怖いことでもあったの?」
「昨日の思い出した。怖かったよ~昇兄、昔の事思い出して、昇兄が居なくて怖かった…」
「よしよし、そんなことがあったんだな。怖かったな~。でも今は、俺、竜の近くに居るよ。」
「うん」
また子供帰りして、夢の事を言ってしまった。
泣いて、怖いと、昇兄に頼る。何も変わらない
昇兄を困らせたくなくて、頑張るけど、俺の弱い部分が昇兄に頼ってしまう。昔からそうだった
だから俺は、本当の心を隠し続けて生きている。
昇兄にいつか、本当の事を、俺の思っていることを
それまでに、俺の心が完全に崩れてしまわないように。いつか、昇兄の隣を心の底から笑って歩けるように。俺が俺であれるように……誰でもない自分に、俺が作り出した俺が、本物の俺にならないように。
この時の俺は、知らなかった。昇兄が思っていることも、もう少しで俺の心は砕け散ってしまうと言うことを。
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