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暴走
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赤くなる顔を押さえて何とかこの熱を収めようとする。
いくら帰国子女でフランクだからって
こんなの友達同士でするもんじゃない。
普通、可愛いからってほっぺにキスする!?
僕男だよ!?
それとも海外ではそんなものなの!?
「だ、だって、だって…!!
普通そーゆーのは恋人同士がするもんでしょ!!」
「恋人って…好き同士?」
「そ、そう!だから僕にそーゆーことするのは…」
「でも俺春翔のこと好きだよ?春翔は俺の事好き違う?」
しょげた顔で「俺の事嫌い?」と聞かれる。
その聞き方はずるいでしょ…
知り合ったばかりの友人に嫌いなんて言えるはずがない。
それに別に嫌いってわけじゃないしむしろ好きだ。
けれどそれはあくまで友人としてであって、そういう好きじゃない。
どうすればこの違いが伝わるんだろう。
「ぇ、あ、好き…だけどそうじゃないの!!」
「?」
誤解はされたくなくて僕も必死。
けど夕陽くんの暴走は止まらない。
目の前の顔はあまりよく分かってないって顔。
「…何が違うの……」
「恋人っていうのはもっとこう…もっと…」
「じゃあもっと好き同士になればしていい?」
「ち、違う!なんでそうなるの!!」
「違うの?なんで?好き同士がするのなら俺と春翔、好き同士だから大丈夫…違う?」
「いや、だから…その……」
「ねぇ、違う?俺間違ってる?」
まるで伝わらない言葉遊びをしてるみたいで頭を抱える。
必死な僕と頭にハテナを浮かべる夕陽くん。
茶番劇のような様子を腹を抱えて笑いを堪えてる奏多。
珍しく暁までもが笑いを堪えて肩を震わせていた。
語彙力無さすぎて伝えられない伝言ゲームしてる気分だ。
「ねぇ、俺間違ってる?変?」
「だから、その…えと……」
「春翔、俺の事好きって言った。違う??」
「ぅ、あ、ぃゃ、……違くないです…」
グイグイ寄ってくる夕陽くんに押されてついに折れてしまう。
「へへっ、よかった。俺も春翔のこと好き」
「ぅ、ん………っ」
嬉しそうに笑う夕陽くんにつられて
僕までまたなぜか照れてしまう。
ちがう、そういう意味じゃないって。
なに赤くなってんだ……
まるで告白されてる気分になって火照りが治まらない。
身体の熱を放散するために、また乾いた喉を潤すためにドリンクをゴクゴクと飲む。
「……そこ2人、いつまで笑ってんの…っ」
「く、ふふっ……お、俺たちも好きだよ春翔」
「ふ、ふふっ……あぁ、好きだよ」
「はいはいっ、僕も2人のこと好きですっっ」
未だひぃひぃ笑いを堪えてる二人をムスッと睨みながら、
ちょっとまだ熱い顔で友人二人の悪ふざけに返事を返す。
そして顔を見合わせてみんなで笑い合う。
まぁ……”どういう”好きかは別として間違ってはいない。
とりあえず今はこれでいいや。
変なことされないようにだけ注意してればきっと大丈夫。
少しずつ違いを理解してもらうようにしよう。
僕を好きと言ってくれるありがたみ。
ふざけ合える友人たち。
毎日が楽しくてキラキラしてる。
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