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「ん……」
真っ黒だった視界がゆっくりと色づいていく。
ぼやける瞳に映るのは、栗色の髪と赤と黄色のメッシュ。
そして……
光の加減で少し赤く見える瞳。
って!!
「うわぁあっ!?」
「あ、ゆーちゃん起きた」
ぼやけていた視界がハッキリとしてきて見えたのは間近にあるけーちゃんの顔だった。
「けっ……け、けーちゃん!? なんでッ……!」
上体をおこし何がおこってるんだと周りを見渡してけーちゃんの手にしっかりと握られている自分の手を見つける。
「……新しい……ひ、かり?」
無意識にそう呟いていた。
「光? 何それ。 ってかさ、ゆーちゃんの目すっごい綺麗だねぇー隠してるのもったいないよ」
けーちゃんの手が俺の前髪をしっかりと持ち上げていて。
俺の顔が丸見えだった。
「……あ、康……介……あぁ……」
それに気づいた時恐怖で身体が震え出す。
ま、また……
《気持ち悪い》
震えが止まらなくて涙が出そうになる。
自分の身体を腕で抱きしめても震えは止まらない。
「ぁ……い、やだ……」
あの時の事が頭に浮かんできてギュッと目を閉じた。
「大丈夫、大丈夫だからねー」
前からフワリと抱きしめられ背中をポンポンと叩かれる。
何故か、自然と怖さはなくなって身体の震えが落ち着いていく。
まるで小さな子供みたいだけど、けーちゃんのぬくもりに凄く安心するんだ。
「何があったのかは、わからないけど話し聞くからね、とりあえず落ち着こぉ?」
優しく宥めてくりるけーちゃんに、一つの疑問がわく。
「けーちゃん、怒ってないの?」
そうだ。
俺は、けーちゃんにあんな事言って傷つけたんだし。
「怒ってないよ。 そりゃさ、嫌われたかなってショックではあったけどさー」
抱きしめた状態でけーちゃんが耳元で返す。
「ごめん……」
当然だけど、やっぱり傷つけてたんだなって声が沈む。
「でもさー、きっと何かあるんだろうし」
俺が沈んでいるのに気づいたのか、雰囲気をかえるように声を大きくして言った。
そんな、けーちゃんの優しさにふっと口角が緩む。
「ん? もしかして今ゆーちゃん笑った!?」
覗き込むように顔を近づけてくるけーちゃんを手で食いとめた。
「っ! 笑ってないから!!」
「あぁー……。 ゆーちゃんの笑ったレアな顔、みたかったなぁー」
「だから!」
いくら否定してもけーちゃんは聞いちゃ居ない。
俺の笑った顔なんて、見てもいい事無いのに……。
「でも、ありがとう……けーちゃん……」
(ん、 何ー? ゆーちゃん)
(べ、別にッ!)
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