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突然の出会い#0
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すべての始まりは10年前の文化祭。
初恋の人は保健室の先生のはずだった。
なのに、奏楽さんと出会って、それは違うと気付いた。
僕の初恋は、奏楽さんだ
世界で一番格好良くて
俺様で自信家なのに裏では誰より努力してて
尊敬してるのも
大好きなのも
恋しいのも
全部奏楽さん。
奏楽さんを失った悲しみは
今まで生きてきた中のどれとも
比べ物にならないほど大きくて
今も
思い返しては涙がこぼれる。
息が出来ないほど胸が苦しくなって
幸せだった体温と感触を記憶の中から探り当てては、必死に掻き抱く
ヘッドホンの奥からは奏楽さんの歌声が響くのに
古いスマホには、奏楽さんの打ち込んだ文章が今もしっかりと表示されるのに
その身体はもう、どこにも存在しない。
ーーーー
ソラさん…もといRickyは生前、
恵まれた容姿を持つにも関わらず
一切顔出しをする事なく数多くの曲を世に送り出した。
近年稀にみる才能の持ち主である彼は、
確実に音楽業界を震え上がらせたのである。
だからこそ、志半ばでの彼の突然の死には
多くの人々が涙を流した。
でも、Rickyは知っていた。
自分の命が、もう長くはないことを。
彼は自身の命日に1枚のフルアルバムを発売する。
全8曲入り。
タイトルは―――…
最期のアルバムを聴くと言う事は
Ricky…すなわち奏楽さんが
もうこの世に居ないことを示す。
だから僕はまだ、アルバムの封を切れていない。
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