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突然の出会い#5
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――Rickyに、告白された。
なんて、誰が信じるだろう。
あまりにも現実とは思えないこの状況
僕だって、信じられない。
でも、目の前にいるこの人は
確かに"僕"に
その言葉を放った。
今しがた釘付けになったあのシルエットのまま、
あの儚く切なく、今でも耳に残る声のまま、
間違いなく
Rickyの証拠を揃えたままで。
一般公開というわけでもない今日、
ただの平日に学校に居る人間なんて
生徒と先生以外に有り得ない。
ただ一人だけ、この敷地内に入ることを許された部外者は
文化祭におけるゲスト……
すなわちRickyしか居ないのだ。
と、言うことは……
ここで僕に告白してきたのはやっぱり…。
…え。
えぇ?
??!???
もう、頭が追いつかない。
なんで氏原先生はどこにも居ないの?
なんで僕とRicky以外、誰も居ないの?
なんでこんなに静かなんだよお…。
これじゃまるで…
「返事が聞こえないぞ。」
「……ぇ、ぁ……。」
「早くしろ、人が来るだろう。」
まるで僕らがこうなるために
舞台が用意されていたみたいじゃないか。
「………っ、お…お願いっ…します……!!!」
「……ふっ、いい子だ…。」
思考も回らないまま、訳もわからず返事をした。
自分がとんでもないことを言ってしまっただなんて
ただの少しも考えられないうちに
――気付けば僕は、Rickyの腕の中にいた。
ふわりと鼻をくすぐる知らない香り。
どこの香水なのかわからないけれど、たまに街を歩いたときツンと鼻を刺すキツイそれではなくて
爽やかで、少し甘くて、大人の香り。
初めて触れるRickyの匂い
体温
呼吸音と
鼓動。
しっとりと濡れた服は、
これっぽっちも汗臭くない。
背中と後頭部を撫でる手は、僕のじゃない。
…それはイコールでRickyのそれだと察する。
頭はずっとぐるぐるして、どうにも使い物にならないみたいだ。
「…お前、心臓うるさいな。」
「だっ、だれ…の、せい……ですか……っ。」
「俺のせいだとでも言うのか?」
頭の後ろで髪をいじっていたRickyの手が、
僕の右頬を包んだ。
ついでに上を向かされたと思えば、
嫌でも目に入ってしまう僕しか知らない"Ricky"の姿。
長いまつげの影がかかるからか、気のせいか
目の下にはうっすらとクマのようなものが見える。
闇のように黒い瞳に囚われるのはまるで金縛りにあったよう。
近すぎる距離感のせいで
目を逸らそうにも目線の行き場すら奪われた
「…見過ぎだ。」
更に縮まる距離
吐く息すらも感じられる。
触れそうになる寸前で、ついに耐えられなくなった僕は
強く、固く、目を閉じた。
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