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突然の出会い#8
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――そのまま寝落ちていたらしく
目を開けば見慣れた白い天井が視界に広がっていた。
いつの間に重い雲は通り過ぎていったのだろうか。
外は夕日で橙色に染まっていて、
保健室にもその光は差し込んでいた。
布団をかけられ、仰向けになっているところを見れば
氏原先生がきっと母親のように世話を焼いてくれたのか、なんて思ったりして
「……あっ!!」
ようやく目覚めた頭でふと、ある事を思い出して
慌てて身体を起こした。
何一つ乱れることなく、
しっかりと留められたシャツのボタン。
ブレザーとその中のベストも、
上から下まで違和感は一つもない。
でも――
「あ、この、匂い……っ。」
甘すぎなくて爽やかな、
微かにわかる大人の香り。
ブレザーし少しだけ移ったようだった。
僕の夢じゃなければ恐らく、
“あの人”に抱き寄せられた時のものだ。
時間がたって、怖い位にいつも通りの風景で
すっかり静かになった校舎。
正直、僕が長い夢を見ていたとしか思えない。
それ以外ありえない。
ありえないはずなのに、夢にしては正確すぎるくらい覚えていた。
熱も
香りも
あの癖も。
僕の名前を呼んでくれた、僕しか知らない彼の声。
思わずシャツのボタンに手をかけた。
スリッパも履かないまま、ベッドから飛び降りて鏡の前に立つ。
夢か、現実かはココを見たらすぐにわかるんだ。
不安と期待…
いや、むしろ不安しかないせいで手が震える。
なかなか外れないボタン。
もし何もないただの肌色なら、
そうだろうと納得が出来る。
それくらい、信じられないことだ。
僕の記憶がどこまで正しいのかわからない。
でも全部が全部正しいのなら――。
勢いよくはだけさせたシャツ。
全然鍛えられてない、日焼けもしてない白い肌。
そこには僕の記憶の通り、しっかりと記されていた。
おまけに首元には、楕円形の血の滲んだ痕がある。
“090-****-**** 俺の”
あぁ
僕は、Rickyの、だ…。
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