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突然の出会い#10
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自分の呆れるほどの鈍臭さに、
しばらくの間フリーズしていたのは言うまでも無いだろう。
もちろん一度追加してしまったものを取り消す事はしたく無い。
だってもう一度あの勇気を出すことなんてできるわけがないから。
まあ、まだ覚悟を決めてもなかった上での行為ではあるが。
空は日が落ちて、少し欠けた月が昇る。
日中の天気の悪さなんて何処にも感じさせないくらいの快晴だ。
なんてこった。僕の心は重たすぎる大きな雲で満ちている。
「これ…どうしたらいいの……。」
僕こんな独り言言うタイプじゃないんだけど。
静かな部屋で考えることはこれの他に無くて、
もうどうしようもない。
とりあえず何か送るべきだろうか。
でも、なんて?
ーそこで氏原先生とのやり取りをうんと遡る。
なんだか僕ばかりが送っててすごく恥ずかしい。
早く、とかまだ?とか、とんだ迷惑な生徒だ。
誰だこんなメッセージ送った奴。
…あ、僕だ。
「いや違くて、今はそうじゃ無くて!」
頭の中にぐるぐる渦巻く恥ずかしさや後悔を蹴散らして、
更に更に遡る。
ようやく1番上まで辿り着くと、そこには始まりの文があった。
『氏原です(o^^o)今日もよく頑張ったね。もし保健室に僕がいなかったり、何か用事があればいつでも連絡してね‼︎』
『はい(キャラクタースタンプ)』
………。
だめだ、何にも参考にならない。
わかってたけど!
こうなったらもう自分で考えるしかないわけで、
友達と呼べる存在なんてほとんどいない僕にとっては最初の一文を送ることだってこんなにも難しい。
気付いてくれて、Rickyから何かくれたり…とか?
そんな風に考え出して、また30分くらい待ってみた。
来るわけない。
「はあぁ〜もう!なんだってんだ!」
もう一度言うが、僕は独り言なんていうタイプじゃない。
考えろ。考えろ。考えろ、僕。
んん〜…。
恐らく、追加してから10時間。
嘘。
そんな気分になりそうなくらい悩み続けたけど実際はまだ1時間くらい。
『追加しました』
悩みに悩んでようやく出てきた答えがこれだ。
ポンコツにも程がある。
今からでも取り消して別の文章を送り直そうか。
でも送信取り消しって相手にも伝わるんだっけ。
ていうか僕の事誰か分からなくて追加した時点でブロックされてたらどうしよう。
本気にしたのかよバカだなって笑われてたらどうしよう。
トーク画面を開いたまま、色々な考えが頭をよぎる。
僕にとっては、全てが普通じゃなさすぎる。
気付くかな。いや、もはや気付かないでほしい。
僕の事なんて記憶から秒で消え去っていてもいい、それが当たり前のような存在なんだから。
彼も、僕も。
なんて、思っていたのは束の間だった。
トーク画面に既読の文字が表示される。
それを確認する間もなく切り替わる画面には、大きくsの文字が映し出された。
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