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突然の出会い#14
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『名前で呼べば。』
「……な、なま……え??!」
身体休めてくださいなんて生意気なことを言った癖に、なんだかんだ長電話に付き合わせている。
と言っても、会話が尽きないわけではない。
静かな時間があったり、
あくびをすれば電話の向こうでもあくびが聞こえたり
たまに聞こえる布の擦れる音は、Rickyの寝返りか、
それとも可愛く枕でも抱きしめているのだろうか。
『Rickyさんなんてふざけた名前で呼ぶんじゃないよ。』
「ふ、ふざ…?!」
今この人、自分の名前をふざけた名前って言った!!
流石にびっくりするよそれは。
もぞもぞ…
また布の擦れる音。
Rickyの声が少し篭る。
頭まで布団を被ったんだろうか。
…なんか、可愛い。
『…よしはるってどんな字書くんだ。』
今にも眠ってしまいそうな掠れた声。
いつもより少し低いその声で問われる。
保健室ぶりに呼ばれた名前に顔が熱くなるのを感じた。
「えっと…美しい、に…天気の晴れで……美晴、です。」
少しの間。
シーツを爪で引っ掻く音がした。
しゅっしゅ、しゅ。
しゅ、しゅっしゅっしゅー。
しゅー、しゅー。
しゅ、しゅー、しゅ、しゅ。
しゅ、しゅ、しゅ、しゅ、しゅー。
しゅぅ…しゅぴっ、しゅ、しゅ。
『ふぅん…そうか。』
あ、そうです。
その字で合ってます。
音でわかる、シーツに並べた僕の名前。
美しいの結晶だったRickyは、2日目にしてとんでもない可愛さを僕に見せつけてくれる。
本当、この荒い鼻息が届いていないか不安で仕方がない。
『美晴。』
「あっ、…はい。」
『俺の事はソラって呼べ。』
「……そ、ら…?」
『そう。奏でるって字に、音楽の楽。』
奏…、楽。
頭に浮かぶ漢字を結んだら、何とも音楽家らしい
そしてRickyらしい綺麗で壮大な名が完成した。
Ricky…じゃなくて、そら…。
そら…ソラ…奏楽……。
『それが俺の名前。奏楽って呼べよ、美晴。』
「…っ、はい!そ、そらさん…‼︎」
『ふっ。それでいい。』
満足気に鼻を鳴らすRicky…じゃ、なくて奏楽さんに釣られて僕も笑った。
(突然の出会い#fin)
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