アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
もう離れられなくて#17
-
最後尾にいたはずの奏楽さんと僕は、ものの数分で列の真ん中、前方へと進んでいった。
さすがは回転スピードを売りにしているだけある。
「美晴は決めたか。」
メニューが表示されているボードを眺め、奏楽さんは腕を組みながらまだ少し考えているようだ。
「あっ、はい…一応。」
こういうお店に入ったことのない僕としては、タピオカ=ミルクティーという王道の組み合わせしか思い付かないわけだけど、
メニューを見てみるとカルピスやフルーツティー、ヨーグルトなんて物もあってなんだか面白い。
また、こんなところに来る機会があれば次はベリーヨーグルト味でも頼んでみようかな。
「お次のお客様お決まりでしたらどうぞ〜!」
ついに僕らの順番が回ってきて、よし。と小さく呟く奏楽さんを確認してレジ前へ進む。
「えと…タピオカキャラメルミルクティーのMをひとつ…。」
自分の分を頼み終え、ちらりと奏楽さんを見上げた。
あ、もしかして別会計のつもりでいただろうか。
「…んー。そうだなぁ、じゃあ
タピオカメロンソーダのL、更にタピオカ増量で。」
「かしこまりました〜!」
「!?」
…未知の飲み物だ。
未知と言っても、ス○バで呪文を唱える女子高生に抱くモヤモヤとは違う。意味は理解出来てしまう。
それでも未知の飲み物認定するんだから相当恐ろしい。
当たり前に作業に取り掛かる店員さんと、
涼しい顔してお財布を取り出す奏楽さん。
僕…僕知ってる。
「お会計860円になりま〜す。」
タピオカって可愛い飲み物だ。
「お気をつけてお持ちくださ〜い。」
決して危なそうな緑の気泡の浮かぶ液体に漬け込まれていい玉じゃない。
「…い、おい。」
「あっは、はいっ!」
「何ぼけっとしてんだ、行くぞ。」
突き出された奏楽さんの左手には、僕が注文したベージュの可愛らしい飲み物。
右手には…
「…奏楽さん、その怪しげな液体は一体…。」
「怪しげってなんだ。メロンソーダLのタピオカ増量だろ。」
透明なシュワシュワした緑の液体。
その中には、黒々しい小さな塊がカップの3分の1程度までぎっしりと詰まっている。
化学室なんかに置いてありそうな、どこからどう見ても怪しい飲み物がそこにはあった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 95